安息の日々はいつ訪れるのか…。巨人は今オフにFA市場最大の目玉だった丸佳浩外野手(29)の獲得に成功した。広島サイドは巨人に人的補償を求める見込みだが、問題はその返答時期だ。時間をかけて精査する方針で、最終期限は来年1月19日。これに、いつ声がかかるとも分からない自主トレ中のGナインは悲鳴の連続で、早くも大ダメージを受けている。

 これも王者の策略なのか。丸の入団により、巨人は広島に対して金銭補償、または金銭+人的補償が発生した。広島は人的補償を選択することが濃厚だが、24日までに回答はない。広島球団幹部は今後について「しっかりと時間をかけて調査する」と長期化の可能性も示唆。期限は巨人と丸の契約締結が公示された今月11日から「40日以内」で、最長では越年どころか来年1月19日まで長引くことも考えられる。

 巨人・大塚球団副代表は「そこまでは引っ張らないと思うけど…」と語ってはいたが、確証を得られない選手たちは気が気ではない。実際に、自主トレ中の選手たちからは不安の声が相次いでいる。

「FA選手の権利や人的補償自体は理解できますが、人的補償になり得る選手たちの人権も考えてほしい。40日は長すぎます。自主トレに影響が出ますから。以前、奥村が人的補償でヤクルトに移籍した時は自主トレ先の熊本から緊急帰京した。心の準備ぐらいはしたいですよ。ダメでしょうけど、プロテクトされていないなら、それだけでも球団に教えてほしい」(生え抜き選手)。さらに、海外で練習する選手からは「もし呼ばれたら、すぐに帰国しなくちゃいけないんですよね…」との声もあった。

 広島への移籍となれば住環境も変えざるを得ない。これについても、投手の一人は「独身でも引っ越しはエネルギーがいる作業。子供や家族がいればなおさらです。単身赴任するか、家族ごと引っ越すのか。話し合いも必要ですし、どんなに急いでも1週間以上はかかる。自主トレどころではなくなるでしょうね」。中には“二度手間”になるリスクを避け、今オフに立てていた引っ越しの予定が暗礁に乗り上げた選手もいるという。

 これらは、28人のプロテクトリストの“当落線上”と見られる選手に限った話ではない。20日にはベテラン左腕の内海が人的補償で西武への移籍が決まった。生え抜き功労者のまさかのプロテクト漏れはベテラン勢にも大きな衝撃を与え「自分も外れているのかな…。何でこんなこと考えなくちゃいけないのか」と疑心暗鬼になっている。

 まともに自主トレに打ち込めない状態のGナイン。果たして、広島は人的補償に誰を選ぶのか。“じらし作戦”が意図されたものかはともかく、ボディーブローのように効いている。