今季限りでマリナーズを退団した岩隈久志投手(37)の巨人入団会見が19日、東京都内のホテルで原監督同席のもと行われた。背番号は近鉄、楽天時代に背負った「21」。年俸5000万円で単年契約を結んだ。

 会見では、主役の岩隈のより原監督の人心掌握術が際立った。岩隈に親しみを込め「クマさん」と呼びつつ「FAという形になって、すぐに彼に電話をかけた。ぜひ来季はジャイアンツで優勝するためにユニホームを着て戦ってほしいと」と即アタックの裏側を明かした。

 その上で「少し体調面に不安があるかもしれませんけど、私も監督として『岩隈ファン』として、お手伝いができたり、あるいは後ろから後押しができることがあれば、しっかり手伝っていきたい」と全面サポートを約束。岩隈は「原監督から直接、真心の言葉を頂いて、この熱い思いにお応えしたいという気持ちで決断いたしました」と心酔した表情だ。

 さらに指揮官は、岩隈がベストナインに選ばれた第2回WBCでの活躍について「私の個人的なレコードでは最も輝いているレコード。チーム全体のMVPは松坂大輔。松坂も、もちろん頑張ってくれたが、私の中では岩隈久志がピッチャーの中ではMVPだと」と最大限の評価で持ち上げた。

 今季まで21を背負っていた吉川光を47に変更。「『クマさんが入るから(替わってくれ)』なんて言いません。左のセットアップとして(引退した)山口鉄也の後釜で期待すると。ぜひ背番号は47をつけてくれ」とプライドをくすぐりつつ吉川光を納得させ、岩隈に最高の番号をプレゼントした。

 大型補強を断行する裏で、浮き彫りになる原監督の“豪腕”と人心掌握。恐るべしだ。

(金額は推定)