【WBC】浩二監督うっかり「五輪野球復活」発言

2013年03月17日 11時00分

北京五輪で星野監督(左)を支えた山本監督(中)

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で大会3連覇を目指す侍ジャパンの山本浩二監督(66)の“別の野望”が明らかになった。優勝監督として、公の場で野球の五輪競技復活をアピールするというのだ。2020年の夏季五輪をめぐっては歴史と伝統のあるレスリングが除外対象になるなど注目を集めているが、山本監督には純粋な野球への思いとともに“過去の屈辱”を清算したいとの考えもあるようだ。

 侍指揮官が欲していたのは、地位や名声ではなかった。もちろん大会3連覇が目標であることは間違いないが、実は“その先”のことまで考えていたのだ。日本代表関係者が明かす。

「山本監督は、野球を五輪種目として復活させたいという希望を持っているんです。WBCで優勝したら、勝利監督インタビューで『野球は世界的な人気スポーツ。この素晴らしいベースボールを五輪の舞台でもう一度、復活させてほしい。世界の皆さん、IOC(国際オリンピック委員会)の皆さん、お力をお貸しください!』といった“決めゼリフ”を事前に用意して、世界中の人々に訴えるつもりだそうです。実際、山本監督は周囲に『なんとか、やりたいと思ってるんや』と言っています」

 そこまで指揮官を突き動かすのは、2008年北京五輪での屈辱があるからだ。盟友で、現在は楽天で指揮を執る星野仙一監督(66)のもとで守備走塁コーチとして同大会に臨んだが、結果はメダルに届かず4位惨敗。当時は日本中から猛烈なバッシングを浴びせられただけでなく、この北京大会を最後に野球が五輪種目から外されたことで後味の悪さだけが心の中に残ってしまった。

「もっと自分たちが熱い戦いを見せて金メダルを取っておけば、もしかしたら野球は五輪種目として残っていたんじゃないのか…。なぜあの時、もっと頑張れなかったんだ…。山本監督は当時のことを振り返りながら、今も自分を責め続けています」と前出の関係者は代弁する。

 だからこそ北京の屈辱をWBC優勝で晴らし、世界の頂点に立った代表チームの監督として野球の五輪競技復活を是が非でも訴えたい。山本監督は、そう切望しているのだ。

 国際野球連盟(IBAF)が野球種目の復活を目指しているのは、20年の夏季五輪。女子ソフトボールとの単一競技として復帰するため、ソフトとの統合団体「世界野球ソフトボール連盟」(WBSC)を創設する。

 同五輪での実施競技は今年5月のIOC理事会で絞り込まれる予定で、9月の同総会で正式決定する見込みとなっている。

 WBCの決勝戦(米サンフランシスコ)が行われるのは現地時間の3月19日。優勝監督として勝利者インタビューで野球の五輪競技復活を世界に向けて訴えれば、理事会の開催前だけにタイミングとしても申し分なく、大きな反響も期待できそうだ。

「WBCは野球の国際大会。そこで『五輪』と『野球』に関する言葉を発しても政治的なパフォーマンスとはならないし、日本だけのことではないのだから大会主催者のWBCI、それにIBAFもそういう発言をすれば喜ぶはず」と別の日本代表関係者も後押しする。野球の五輪競技復活は、侍ジャパンの3連覇達成が大きなカギを握ることになるかもしれない。

 ただ、野球の20年五輪復活が前進することは、同大会で25の中核競技から外され、復活を目指すレスリングの危機を意味する。残された競技実施枠は1つで、これを8競技で争う(2020年夏季五輪の実施競技をめぐっては、レスリングを筆頭に、1競技として統合された男子野球・女子ソフトボール、空手、武術、スカッシュ、ローラースポーツ、スポーツクライミング、水上スキーのウエークボードが最後の1枠を懸けて争っている)。

 レスリングはロンドン五輪で金4個を含む6個のメダルを獲得。日本オリンピック委員会(JOC)の基幹競技の1つとされているだけに、「野球&ソフトかレスリングか、どちらもアウトか」の“究極の選択”を待つ現在、JOC関係者も苦渋の思いだ。