クセ者 “二刀流コーチ”巨人・元木に期待大なり!

2018年12月19日 11時00分

ノックする元木コーチ(右)

【赤ペン!!赤坂英一】全く話題になっていないが、2005年の現役引退以来、13年ぶりに巨人に復帰した元木大介氏は“二刀流コーチ”である。巨人を取材して30年、私の記憶に間違いがなければ「内野守備兼打撃」と攻守にまたがる肩書を付けられたのは元木コーチが初めてだ。

 最近はタレントとしての印象が強いだけに、何が教えられるのかと首をひねる巨人OBもいる。が、ああ見えて、球場に取材に来ると、若手になかなか中身のある助言をしていたものだ。「たとえ最初はベンチにいても、声で試合に参加することはできる。声をかけるには、しっかり試合を見てないといけない。見ることに集中していれば相手投手のクセも分かってくる。そういうものを、代打で出るチャンスに生かしたらいいんだ」

 そんな元木氏を、当時ヘッドコーチや二軍監督を務めていた川相昌弘氏も、ひそかに評価していた。「現役時代の元木は相手投手のリズムを狂わせるのが抜群にうまかった。投球の途中、目にゴミが入ったからと言って打席を外し、ゴシゴシと拭うふりをして間を取ったりしてね。若手は、ああいう工夫を見習ってほしい」

 確かに、元木が打席で見せる細かな“裏技”は見応えがあった。一度の打席で細かくスタンスを変えたり、大して危ない球でもないのに怖い顔をしてマウンドに向かおうとしたり、それで投手ににらみ返されると「落ち着けよ」と言わんばかりにいなしてみせたり。

 当時、その意図を元木に聞いたら「いろんなことをして自分の有利なカウントに持っていこうとしてるんだよ」と解説していた。「ヤクルトの古田さんあたりを相手に、ああいう駆け引きをするのが面白いんだ」と。

 現役時代の元木といえば、隠し球を得意にしていたことでも知られる。勝つためにどうやって敵の裏をかくか、常に頭を使った野球をする独特のスタイルが、長嶋監督をして「クセ者」と言わしめたのである。

 解説者時代に話を聞くと、「早くユニホームを着たいよ」と漏らすことがあった。やはり巨人にこだわっているのかと聞くと「いや、どこの球団でも構わないよ。おれは野球人なんだからね」と強調していたものだ。

 そういう長年の悲願がかなってのコーチ就任。46歳での現場復帰は年齢的にもギリギリのタイミングだっただろう。大いに奮起してもらいたい。