元DeNA・内藤雄太さん おもちゃと野球用品の営業二刀流

2018年12月15日 11時00分

引退後も野球に関わる仕事で奮闘する内藤さん

【異業種で輝く元プロ野球選手】玩具メーカー社員でありながら、米人気野球ブランドを日本で普及させる。そんな使命を託され奮闘を続けているのが元DeNAの内藤雄太さん(35)。現在、都内にある玩具製造・販売会社「カシマヤ製作所」に勤めている。

「会社の主力製品は縄跳びやバドミントンなどの子供向け玩具です。でも、弊社はメジャーで人気のある野球用品メーカー『Franklin(フランクリン)』社の革手袋や米バットメーカー『marucci(マルッチ)』の日本総代理店でもある。野球シーズン中は玩具販売だけでなく自社の商品を選手に営業しないといけなくなるので…。大変ですよ(笑い)」

 内藤さんは2005年に強打の外野手として横浜ベイスターズ(現DeNA)に入団。プロ1年目から一軍出場を果たし、09年には69試合で打率2割5分3厘、5本塁打、14打点を挙げる活躍を見せた。だが、11年を最後に成績が低迷。13年に戦力外通告を受けると、翌年からは「好きな野球に携われる」と、スポーツオーソリティ(株式会社メガスポーツ)の社員になり、新たな道を歩み始めた。

 現職に至るきっかけは同ショップに勤務していた15年春、親交のあったカシマヤ製作所社長・西上茂氏からの「要請」だった。「もともとスポーツオーソリティでフランクリン社製の革手袋を扱っていたのですが、西上社長から『プロ野球選手で使ってくれそうな人を紹介してくれないか』と頼まれまして。それで筒香(嘉智)選手と石川(雄洋)選手(共にDeNA)を紹介したところ、石川選手がたまたまどのメーカーとも契約をしてなかったので使ってくれることになった。それがきっかけで西上社長から『一緒に仕事をしないか』と誘っていただきました」

 16年1月に現会社に転職。だが、当初は慣れない営業職に戸惑いを隠せなかった。

「前職のショップ店員のころは店を訪れるお客さんの方から商品について聞いてくることが多かったのですが、この会社の営業は大手量販店などに玩具を置いてもらえるよう、自分から売り込まないといけない。それまでとは全く逆の営業姿勢だったので、最初は相手とのコミュニケーションの難しさを痛感させられました」

 試練は続く。自社が販売権を持つ野球用具の営業も容易ではなかった。

 カシマヤ製作所が扱うフランクリン社製の革手袋やマルッチ製バットは米国での人気は高いものの、日本での認知度は低い。しかも、プロの主力は大手用具メーカーと契約している選手が多く、他社製品を安易に使用できない。その状況下での市場開拓。悩みは尽きなかった。

 それでも、この仕事に就いてはや3年。地道な活動で同社製品は日本球界に浸透しつつある。現在、使用選手は川島慶三(ソフトバンク)、ソト(DeNA)、バレンティン(ヤクルト)ら外国人選手を含め20人。今後もシェア拡大に向け意欲を燃やす。

「石川選手が使い続けてくれたことや、メジャーで使用していた外国人選手が使ってくれることもあり、手応えは感じています。でも、選手への営業は基本的に自分一人ですし、ウチの会社の本業はおもちゃの販売営業。他社の野球メーカーに比べ、選手へのケアが不十分なのが課題です。でも今後はプロ選手の希望に沿えるよう頑張ろうと思います。好きな野球に携わっていきたいですからね」

 最後まで笑顔を絶やさなかった内藤さん。引退後の人生でも野球愛は変わらない。

☆ないとう・ゆうた=1983年、神奈川県生まれ。横浜商工高(現横浜創学館高)から八戸大を経て2005年大学生・社会人ドラフト3巡目で横浜入団。1年目から一軍出場も13年に戦力外通告。14年に株式会社メガスポーツ入社。16年1月に株式会社カシマヤ製作所に転職。営業/プロ選手統括マネジャーとして現在に至る。プロ通算成績は210試合で打率2割2分、39打点、6本塁打。身長182センチ、右投げ左打ち。家族は妻と1女、1男。

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