ソフトバンク・上林誠知外野手(23)が5日、福岡市内の球団事務所で2度目の契約更改交渉に臨み、4000万円増の7500万円でサインした。今季は初の全試合出場で打率2割7分、いずれも自己最高となる22本塁打、62打点をマーク。2年連続リーグトップの10補殺を記録した強肩に加え、俊足を生かした広範囲の守備で貢献した。この日は、セイバーメトリクスに基づく自身の守備での貢献度を分析した分厚い資料を持ち込み、前回から300万円の上積みを勝ち取った。

 主力組の先陣を切って交渉についた前回、いきなりの保留で話題を集めた。世間で言えば大卒新入社員と同じ高卒5年目で、前回の保留後は「勇気がいったし、気まずかった」と本音を吐露。だが、その勇気はナインの間で高く評価された。ある選手は「トップバッターが妥協しなかったのは頼もしかった。上林が今年の成績で渋々サインすると、後に続く選手にも影響する」とナインの思いを代弁。大幅昇給が見込める選手が納得のいかない形で判を押せば「他の選手も同じように受け入れざるを得ない」(別の選手)ムードが漂うからだ。

 日本一連覇の一方で、リーグ2位に終わり、今年のソフトバンクは例年になく査定が難しい。今後、日本シリーズMVPの甲斐らが交渉の席に着くが、選手の希望額と球団提示額には大きな開きがあるとみられる。上林の見せた“男気”がどう影響するかにも注目だ。(金額は推定)