【赤ペン!!赤坂英一】大がかりな野手の補強も結構だが、結局巨人は来年も投手次第ではないか。特にメルセデス(5勝4敗、防御率2・05)、ヤングマン(3勝1敗、防御率2・77)ら、今季台頭した外国人の働きにかかっていると思う。

 今季、チーム防御率3・79とリーグ1位で唯一3点台を維持したとはいえ、先発ローテを守り抜いたのは菅野ひとり。補強戦力で期待されたFA移籍の野上は敗戦処理も同然。先発でノーヒットノーランを達成した山口俊も、終盤には抑えに回されたほど。

 そうした中、育成から支配下に昇格し、先発の一角に食い込んだのがメルセデス。年俸も270万円から855万円に上がったものの、これは同じドミニカン、広島・フランスアの今季年俸とほぼ同額。そのフランスアの来季年俸は4117万円プラス出来高なのだから、メルセデスとしては複雑だろう。

 メルセデスもフランスアも、広島がドミニカ共和国で経営するカープアカデミーに所属していたライバル同士。それが、メルセデスの方が解雇されて、巨人に拾われたという因縁もある。球団関係者はこう言った。

「ウチももっとメルセデスの給料を上げればよかったかもしれない。でも、彼のハングリーな性格なら、フランスアとの差をいい発奮材料にしてくれるはずです」

 年俸が8630万円から1億4100万円へ上がったヤングマンも、来季は開幕からフル回転が期待される。今季は外国人枠の関係で7月から一軍昇格すると、デビュー戦から3連勝。その直後、打球の直撃で左手を骨折しなければ、球威とコントロールの良さからして、2桁は勝っていたはずである。

 その骨折が治り、二軍で実戦復帰した9月、実は首脳陣の間でヤングマンの抑え転向が検討されたことがある。首脳陣が「リリーフはできるか」とヤングマンに打診したところ「メジャーでやってみて失敗したから」と拒否回答。CS用の“秘密兵器計画”はあえなく消滅した。

 ヤングマンの登場曲は、今年亡くなった西城秀樹さんの大ヒット曲「YOUNG MAN(Y.M.C.A)」。勝ち試合の9回、この曲が東京ドームに流れればさぞかし盛り上がると思うのだが、本人と原監督に再考してもらう余地はないものか。

 あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。今春、公益社団法人・日本文藝家協会に入会。好評発売中の「野球エリート 野球選手の人生は13歳で決まる」(講談社+α新書)が増刷。毎週金曜朝8時、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ!」に出演中。「失われた甲子園 記憶をなくしたエースと1989年の球児たち」(講談社)が第15回新潮ドキュメント賞にノミネート。