復活を遂げた中日・松坂大輔投手(38)の来季年俸をめぐり、球団内で「安すぎる」「高すぎる」と賛否両論の声が巻き起こっている。昨季まで在籍したソフトバンクでは3年間で一軍登板1試合だったが、今季は11試合に先発し6勝4敗、防御率3・74でカムバック賞にも輝いた。3日までに6500万円増の年俸8000万円プラス出来高払いの単年契約で合意。現時点で433%のアップ率はチーム最高で、西山球団代表は「勝ち星はもちろん、営業面での貢献についても加味している」と説明した。

 中日の今季主催試合の観客動員は214万6406人で1試合平均3万231人。昨季の201万772人を大きく上回り前年比8・3%増加した。松坂がナゴヤドームで登板した9試合は合計29万7388人で同平均は3万3043人と動員数を押し上げ、関連グッズも数億円単位の売り上げがあったとみられ“松坂効果”で球団に大貢献した。

 そのため、来季年俸の8000万円を“安い”とみる球団関係者は「観客動員やグッズの売り上げとか、今年の松坂の働きからしたら最低でも1億円は出してあげないと。そもそも今年は1500万円と、松坂からしたらただ同然の年俸だった。大台にもいかないのは、ちょっとかわいそう」と首をかしげる。

 一方で“妥当”とみている向きもある。「本当は年俸1億円でもいいけど、そうするとFAを行使せず残留した吉見や複数年契約している谷元らを上回り、松坂が投手陣でチーム一の高額年俸になってしまう。いくらなんでもバランスを考えたらそれだけはできない」「6勝で8000万円はあげすぎ」といった声も球団内にはある。

 巨人では広島からFAで加入する丸の5年35億円超とも言われる条件を巡り、OBの堀内恒夫氏から「チームのバランスがおかしくなってくる」と“物言い”がつくなど物議を醸している。営業面での貢献度も加味しての8000万円は、無用な批判をかわす上でも絶妙な数字だったのかもしれない。(金額は推定)