プロ野球のNPBアワーズが27日、東京都内のホテルで開かれ、今季のセ・リーグMVPに2年連続で広島・丸佳浩外野手(29)が選出された。2年連続のMVP受賞は2008、09年のセ・リーグ、ラミレス(巨人)以来。日本人選手としては06年のパ・リーグ、07年のセ・リーグ、小笠原(日本ハム、巨人)以来の快挙となった。

 2年連続セ・リーグMVPの丸は今季125試合に出場して自己最多の39本塁打、97打点をマーク。最高出塁率(4割6分8厘)のタイトルも手にし、球団初のリーグ3連覇にも貢献したが、順風満帆のスタートではなかった。

 4月28日の阪神戦(マツダスタジアム)で守備中に右太もも裏筋挫傷を引き起こし約1か月間のファーム暮らし。だが、その負傷離脱を「離脱した分を取り戻そうと。復帰した後はそういう気持ちが強かった」と発奮材料にした。復帰後の6月8日の楽天戦(マツダ)の守備では負傷したシーンによく似た打球が飛んできたが「フラッシュバックしそうになった」としつつも、ダイビングキャッチで悪夢を完全に払拭した。

 球界を代表するバットマンながら、今なお進化を続けるのは根底に“下手くそ魂”があるからだ。シーズン中は試合のない休日も必ずと言っていいほど、球場に足を運んで汗を流す。丸自身が大事にしているルーティンの一つで「自分は不器用なので。キク(菊池)のように器用なプレーや打撃ができるわけではない。練習をするしかないんです。トレーニングも練習も歯磨きと一緒。歯磨きしないと気持ち悪くなるでしょ? そんな感じ」と語る。

 本塁打を量産しても打撃に対するスタンスが変わることはない。「ホームランバッターではないので自分のスタイルを勘違いしないように。(打撃も)ずっと同じというわけにはいかないし、微調整をしながらやっていけたら」。広島からFA宣言し、まだ来季はどこでプレーするか決まっていない。ただ、どのユニホームを着てもさらなる高みを目指す。