V奪回へ、なりふり構っていられない。巨人は21日、今季はパドレスでプレーしたメキシコ出身のクリスチャン・ビヤヌエバ内野手(27)を獲得したと発表した。右投げ右打ちのパワーヒッターでメジャー2年目の今季は正三塁手として110試合に出場し打率2割3分6厘、20本塁打、46打点をマーク。1年契約で契約金を含め総額200万ドル(約2億2400万円)。4年ぶりに就任した原辰徳監督(60)にとって新戦力第1号だが、大補強の序章に過ぎないようだ。

 ビヤヌエバは昨年9月にメジャー初昇格し、今年4月には打率3割2分1厘、8本塁打、19打点の好成績でア・リーグのエンゼルス・大谷とともに、ナ・リーグ月間最優秀新人を受賞した。強打が持ち味で主に三塁を守ったが、捕手以外の内野すべてで守備経験があるのも売りだ。

 巨人では一、三塁などをこなした中軸のマギーが今季限りで退団。岡本の三塁再転向、阿部の捕手復帰で手薄となる一塁をカバーできる助っ人として白羽の矢が立った。大塚副代表編成担当は「基本は一塁? そうですね。監督の判断になるが、(岡本が背負う)巨人の4番・三塁は負担が大きい。(ビヤヌエバは)一、三塁ができる」と説明した。

 年齢も27歳と若く、マギーの後釜としてだけでなく伸びしろも見込める。ビヤヌエバはマギーがつけた背番号33を継承する予定で「日本に行ったことはありませんが、日本人選手はとても練習熱心で規律正しいイメージがあります。東京ドームの大観衆の前でプレーすることを楽しみにしています」などと球団を通じてコメントした。

 原巨人ではビヤヌエバが補強第1弾ながら、まだまだこれは序の口だ。4年連続V逸となった今季、浮き彫りとなった最大の課題はブルペン陣の再構築。上原、澤村、マシソン、カミネロの4人で終盤の接戦を勝ち切る構想は、相次ぐ不調や故障で崩壊した。カミネロは退団し、自由契約となった上原の去就も不透明なまま。マシソンも左ヒザを手術した。来季のリリーフ構想は「白紙」となっており、球団スタッフは「カミネロがいなくなり、長年チームのために力を尽くしてきてくれたマシソンも来年は35歳になる。手術をして、どこまで回復できるか分からない。新たな助っ人を獲りにいくのは自然の流れでしょう」という。

 助っ人投手以外にもFAでは広島・丸、西武・炭谷のダブル獲りを狙い、オリックスを自由契約となった中島とは22日に東京都内で最終交渉を行う。さらにマリナーズを退団した岩隈の動向も引き続き注視しており、補強に向けた動きは目まぐるしい。V奪回が最重要課題となる原政権は、今後もオフの主役を張り続ける。