ソフトバンクの二軍打撃コーチに就任した新井宏昌氏(66)が14日、宮崎で行われている秋季キャンプに合流。イチロー(マリナーズ会長付特別補佐)の師としても知られる新井コーチは、7時間を超える熱血指導を行い「最後の仕事として、超一流の選手を育てられればいい」と球界への“恩返し”を誓った。

 2008年以来のホークス復帰で「まだ選手の顔と名前が一致しない」と言うだけあって、最初は遠めに選手の動きをチェックしていたが、徐々に体は前のめりになった。打撃ケージ裏から選手個々に積極的に声を掛け、サンドバッグを使った練習では自ら実演指導。球場を引き揚げたのは辺りが真っ暗になった午後6時前だった。

 秋季キャンプ合流前、03~04年、07~08年にコーチとして仕えた当時の監督である王球団会長から直々に電話をもらったという。「会長から『思いっきりやってくれたらいいんだから』と言っていただいた」。これまでファームでは二軍監督を歴任したが、ファームの打撃コーチ就任は初めて。「勝負のかかった一軍ではないというのも魅力の一つだったかもしれない。勝ち負けが関わってくると、思うような指導ができないというのもある」

 通算2038安打を放った確かな技術と、その指導力の高さはピカイチ。オリックス時代はイチローを、ダイエー時代は川崎や村松らをレギュラーに押し上げ、15年まで在籍した広島では田中、菊池、丸の成長に一役買った。球団の「若手有望野手の打撃力を強化したい」という切実な願いに、うってつけの名伯楽だ。

 チームは36歳の内川、35歳の松田宣と野手の高齢化が進んでいる。若手育成が急務となっているだけに、新井コーチへの期待は大きい。