全権監督の剛腕が巨人を戦慄させている。原辰徳監督(60)は14日、FA宣言選手との交渉解禁を前に広島・丸佳浩外野手(29)、西武・炭谷銀仁朗捕手(31)のダブル獲得に乗り出す意思を表明。自らが交渉役を買って出る可能性も示唆した。
今季固定できなかった中堅手であり長打を計算できる左打者は、まさに補強ポイント。丸の決断を受け、原監督は「若いときから彼のプレースタイル、プレーを見ていて、ジャイアンツにとって非常に魅力のある選手であるということは言えますね」。慎重に言葉を選びつつ、高い評価を口にした。
炭谷も獲る。「ジャイアンツにはいい捕手もいるけれども、銀仁朗はエース(正捕手)の経験というね。そういう部分では、刺激を入れる(必要がある)ポジションであると」。経験豊富な人材の投入により、若い捕手陣に高レベルのレギュラー争いを生むことが狙いとした。
チーム編成権は事実上、自らの手中にある。全権監督は「自分の意思は球団に伝えてあります。時が来たらアクションは必ず起こす」と丸、炭谷との交渉への参戦を表明すると「私もジャイアンツの一員として、意思を伝えに行く、ということはあり得る」と自ら出馬する可能性も示した。
オリックス退団の中島へのラブコールから一夜明け、今度は丸、炭谷獲りも宣言。その剛腕ぶりに、秋季キャンプ参加中の若手ナインの間では「丸さんたちが本当に来たら一軍枠なんて残ってないじゃないですか…」と暗い声も漏れる。
だがベテランスタッフは「これが本来の巨人なんです。勝てなければ外から誰かがやってくるんですよ。この3年間は由伸のおかげで“奇跡的”に若い選手が多くチャンスをもらっただけ。甘ったれてちゃ困ります」とピシャリだった。
今オフの補強方針にはすでに賛否両論渦巻いているが、そうした声に惑う指揮官ではない。G党の期待や不安、若手の悲哀も巻き込んで、原巨人がストーブリーグど真ん中を突き進んでいる。