巨人の大補強がいよいよスタートする。第1弾はオリックスを退団した中島宏之内野手(36)だ。13日、自由契約選手との交渉が解禁されたことを受け、原辰徳監督(60)は「非常に魅力のある選手」と明言。獲得へ向け、球団にゴーサインを発した。
 原監督は西武に敗れた2008年の日本シリーズで中島の資質にほれ込み、指揮官として率いた09年の第2回WBC大会では2番打者に抜てきし、世界一の原動力となった。「ナカジ? すごく評価しています。非常に野球選手としての質の高さ、勝負強さ(がある)」と絶賛する指揮官は「何よりも私と相性がいい。私が勝手にそう思っているんだけどね」とラブコールを送った。

 中島は今季は左太ももの肉離れによる離脱もあり出場は77試合。打率2割8分9厘、5本塁打、34打点にとどまった。来季37歳のベテラン獲りに不安の声が上がっていることは事実だが、原監督が買っているのは高レベルの経験値。岡本の三塁再転向により一塁が空くことに加え、手薄な右の代打として期待を寄せる。

 原監督はまた、この日開催された12球団合同トライアウトについても「補強ポイント的な選手がいたならば、当然、手を挙げるということはあるでしょう」とした。今季の巨人は引退、自由契約、トレードなどで大量17人が退団し、枠には余裕がある。トライアウト不参加組を含め、例年以上に戦力外選手への調査熱も高い。

 交渉解禁目前のFAでは丸(広島)、炭谷(西武)のダブル獲りに乗り出し、外国人では退団確実となったマギーとカミネロに代わる大砲、強力リリーフ投手獲得を狙う。球団内も指揮官の剛腕には圧倒されっぱなしで「監督の編成方針に批判的な声もないことはないが、今は『原さんの実行力はやっぱりすごいよね』という空気」(フロント)という。

 指揮官の強力なリーダーシップと巨大資金力を武器に、今年のストーブリーグは原巨人が主役となって暴れ回る。