巨人が久々の大物FA補強へ本気モードだ。広島・丸佳浩外野手(29)が7日、国内FAの権利を行使する申請書類を球団に提出。「他球団の評価も聞いてみたい」と決意表明した。リーグ3連覇の立役者の決断を受け、いよいよ始まる争奪戦。広島は4年総額17億円の残留条件を打診しているともいわれ、丸の地元・千葉ロッテも興味を示しているが、マネーゲームとなれば主役はやはり巨人だ。なんでも“ゴジラ級”の破格条件を用意してライバルを蹴散らしにかかるというのだが…。 (金額は推定)

 来季5年ぶりのペナント奪回を目指す巨人にとって、丸の獲得は今オフ最大のテーマといっていい。走攻守が高レベルで揃っていることは言うまでもないが「長打を計算できる左打者で中堅手」は補強ポイントにドンピシャ。シーズン中から決断の行方を固唾をのんで見守ってきた。

 球団が原監督率いる新体制となっても、方針に変化はない。むしろ熱量は上がっている。翌日に控えた日米野球のため宮崎から一時帰京した指揮官はこの日、丸の決断を受け「球団の方がきちんと動くと思いますよ。今、僕からはそのことしか言えないな」としたが、山口オーナーからは就任時に「編成の方針に関しても監督の意向を完全に尊重する」とお墨付きを得ている。慎重な言い回しは強い意気込みの裏返しと見るべきだ。

 丸は宣言残留の可能性も示唆しており、広島が打診している条件も球団史上最高レベル。ただ「プロ野球選手である以上、他球団の評価を聞いてみたい」との言葉を聞く限り、肝となるのはやはり“カネ”なのだろう。地元のロッテも総額20億円規模の巨額契約を用意しているともいわれるが、条件面の争いとなれば巨人の敵ではない。

 巨人関係者によると、丸への提示条件は「単年換算であれば松井クラス。5年総額30億円前後になるんじゃないか」というから半端じゃない。巨人の日本人選手史上最高年俸は松井秀喜氏の6億1000万円。FA選手では2012年にソフトバンクから移籍した杉内(現ファーム投手コーチ)が4年総額20億円の大型契約を結んで話題となったが、丸への“誠意”はそのはるか上を行く気配だ。「山口オーナーは2年前に糸井(現阪神)の獲得資金として4年24億円を球団に用意させましたし、陽岱鋼を5年20億円で獲得するのにもゴーサインを出しています。丸はそれ以上の大物ですから、今回も天井なしでカネをつぎ込むでしょう」(前出の関係者)

 一方で前のめりな球団の姿勢に現場は冷ややかだ。現状、チームの最高年俸は菅野の4億5000万円。チームの顔である坂本勇でも3億5000万円だ。「ウチは生え抜きに冷たい」との思いを抱いている選手が多く「丸クラスの選手に大金を出すのは理解できますが、僕らとのバランスも考えてもらいたいですよね」との声も漏れる。4年連続V逸でただでさえ今オフは厳冬が予想されているだけに、本格的な契約更改交渉を控えてピリピリした空気が漂っている。

 FA宣言選手との交渉は来週15日に解禁となる。巨人は西武・炭谷の獲得も同時に狙うが、注目されるのは丸への“誠意”。果たしてどんなビッグな条件が飛び出すか。