【日本シリーズ】工藤ソフトB 薄氷勝利の傷だらけ内情

2018年10月31日 16時30分

9―8の乱打戦を制し、勝利監督インタビューに答える工藤監督

 ソフトバンクが30日、広島との日本シリーズ第3戦(ヤフオクドーム)に9―8で辛勝。勝敗を1勝1敗1分けのタイに戻した。過去4年で3度の日本一に輝いているが、今年はこれまでにない大苦戦の日本シリーズ。激闘続きだったシーズンの疲労は明らかで、石川が戦線離脱するなど、不安材料が表面化している。

 工藤監督がホッとした表情を浮かべた。本拠地に舞台を移しての第3戦に勝利して1勝1敗1分けのタイに戻した。

 これでヤフオクドームでの日本シリーズは2011年の第7戦からチームとして10連勝だ。「勝ててよかったです。ヤフオクドームに戻ってきたし、本来の姿を出してくれると思っていました。明日、あさってと、また勝てるように頑張りたいです」と話した。

 ただ、戦前の予想をはるかに上回る苦しい戦いとなっている。交流戦にめっぽう強く、日本シリーズも過去4年で3度制覇している。しかも強敵・西武をCSで倒した勢いもある。チーム内には下克上での日本一への自信も漂っていた。

 それが第1戦、第2戦は広島投手陣に21イニング3得点に封じられた。ようやく打線が本調子となったかと思いきや、この日は逃げ切り態勢から最大6点差を1点差にまで詰め寄られた。試合後には球団内から「これで逆転されていたら終わっていたかもしれない」との声も出たほどだった。

 一番の不安材料がチーム全体の満身創痍だ。「普通ならシーズンのどこかで一息つけるところがあるんですけどね。今年はレギュラーシーズンから最後まで優勝を争って、CSもファーストステージから出ている。最後には西武との激戦もあった。一息つくこともできずに来ているのはある」(チーム関係者)

 今季は8月5日の時点で借金2に沈みながら、そこから驚異の末脚でロングスパート。一時は首位・西武まで3ゲーム差にまで追い上げた。直接対決で敗れながらも最後まで追いすがり、9月30日のV逸まで戦った。

 CSもファーストステージを勝ち抜くと、ファイナルステージでは最強打線を擁する西武へのリベンジに全精力を注ぎ込んだ。その末の突破から1週間とたたずに始まった日本シリーズ。首脳陣も「西武との激戦を突破した疲れは思っていた以上にある」と話す。

 この日は石川がヒジの張りのため急きょ戦線離脱した。本人は「感覚的にもいろんなところが疲れていて、最終的にヒジに来たのかなと思う」と話したが、シーズン中盤まで先発を務め、その後は第2先発を含めたリリーフでフル回転してチームトップの13勝を挙げた右腕の不在は痛い。

 実際に試合でも響いた。先発のミランダを6回も続投させた結果、イニング途中から高橋礼、モイネロへの継投となったが「代え時とはいえ、石川がいないということを考えれば、行ってもらうしかなかった」(あるコーチ)。

 また、8回に5点を失い1点差に迫られたセットアッパーの加治屋も実質1年目のシーズンで、いきなり球団記録の72試合に登板している。疲れがないはずがない。「気が張ってプレーしているので大丈夫だとは思うが、はっきり言って投手だけではなく、野手もパンク寸前。ギリギリの中でやってくれている」(球団スタッフ)

 日本一連覇を目指す工藤ホークス。激闘続きによる疲労の色は明らかだが、あと3勝で頂点に立てる。チーム一丸となり最後の力を振り絞って戦うしかない。