日本シリーズが27日にマツダスタジアムで開幕。26日に行われた監督会議ではソフトバンク・工藤公康監督(55)の要望が通り、予告先発を行うことが決定し、第1戦はソフトバンクが千賀滉大(25)、広島は大瀬良大地(27)と発表された。両軍最終調整の舞台裏をのぞいてみると、それぞれのキーマンの働きが注目となりそうだ。

 工藤監督が日本一連覇に向けて大事な初戦のマウンドを千賀に託すことを明言した。「開幕投手もそうですし、うちのエースとして中心にやってもらわないといけない投手。彼しかいないと思って託しました。彼の持っているものを出してくれれば、いい投球はできると思う」と力強く話した。

 指揮官にとって過去2度の日本シリーズでは、両軍の合意が必要となる予告先発の提案をことごとく却下されていた。しかし、今回は「事前にNPBの方に『こちらはあったほうがいいです』という話をさせてもらったところ『カープさんからも問題ないという答えをいただいている』とのことだった」。監督会議では広島・緒方監督が「初戦は大瀬良大地です」と発表すると、続けざまに「千賀でいきます」と宣言した。

 予告先発制度があれば相手投手に合わせてオーダーを組むことができる。ただ、指揮官が日本シリーズでの予告先発にこだわっているのは、自らの経験から大舞台で投げる先発投手に万全の調整で臨んでほしいとの思いが強いからだという。「投手に普段通りにやってもらいたいというのがある。報道陣の皆さんに聞かれたり、隠したりするのも大変。投手にとってはストレスになる」と真意を説明した。

 12球団最強の打線を擁した西武とのCSでは、先発投手を早めに降ろしての継投で勝利をつかんだ。今回の日本シリーズでも自慢の第2先発陣を駆使しての戦いになりそう。それでも「CSの戦いが基本にはなるが、先発投手がしっかり投げて勝てるのが理想というのはある」。シーズンでは規定投球回に一人も到達しなかったが、集大成となる投球にも期待を寄せた。

 千賀は「短期決戦の頭なのでチームに流れを持ってくる投球をしたい」と責任感を口にした。今季は状態が万全ではない中で投げた一年だったが、大舞台での快投に注目が集まる。