【ドラフト会議:1位の素顔と野望 ヤクルト1位=清水昇投手(22=国学院大)】最速151キロを誇る安定感抜群の本格派右腕。変化球もスライダー、フォーク、カーブと多彩だが、特筆すべきはDeNA・山崎康晃直伝のツーシームだ。

 フォークとスプリットの中間の握りから繰り出され、一般的なツーシームよりも鋭い軌道で落ちるこの球は「亜大ツーシーム」「亜細亜ボール」とも呼ばれ、山崎をはじめソフトバンクの東浜巨、広島の九里亜蓮、薮田和樹ら亜大出身者に代々受け継がれる“魔球”だ。亜大出身でない清水が門外不出の亜大ツーシームをマスターしたのは帝京高時代。OBで当時亜大に通っていた山崎が自主トレで母校帝京を訪れた際に自ら教えを請うたという。

「(山崎は)憧れの先輩です。(帝京の)前田監督の紹介で、教えてもらえるように頼んでもらった。投手としての心構えと、このボールを教わりました。このツーシームがあったからここまで来れた。ストレートと同じ腕の振りで落ちる球。スピードも全然違う」。戦国東都でしのぎを削る国学院大で人知れず亜大ツーシームを磨き、ドラフト1位に駆け上がった。

 独自の人脈で会得した“亜流”ツーシームの使い手は、プロの舞台で憧れの先輩に続けるか。