【ドラフト会議:1位の素顔と野望 中日1位=根尾昂内野手(18=大阪桐蔭)】テレビカメラ約30台が見守る中、根尾は藤原とともにその瞬間を待った。中日、日本ハム、巨人、ヤクルトの4球団が競合し、中日の与田新監督が交渉権を引き当てると「小さいころからテレビをつけたらドラゴンズの試合をやっていた。強いチームと思っていた」と安堵の表情を見せた。岐阜出身で少年時代にドラゴンズジュニアに所属。「何か縁がある。これを大切にしてチームの一員として勝利に貢献したい」と力を込めた。

 投げては最速150キロの直球と切れ味鋭いスライダーを操り、打っては高校通算32本塁打、内外野もこなすまさに万能型。頭脳明晰でメンタルも強く、どんな状況でも冷静さを失わない。読書家で野球の本だけでなく、スティーブ・ジョブズの経営本や「論語と算盤」「思考の整理学」など東大生御用達の社会学の本も読みこなす。

 成績も常にトップクラス。チームメートの青地は「みんなが自主練している時でもあいつだけ難しい本を読んでる。それが隙のない野球に生かされているし、人間性にもつながっている」と舌を巻く。

 そんな根尾の可能性は野球だけにとどまらない。「長く選手をやった先には監督だってできる。経営する側にも回れる。経営だって勉強しているし、地道に継続して努力することができる。野球以外で何でもできそうなのはあいつだけ。すごいですよ」(青地)。中日にとってはまさに“多刀流”の金の卵に違いない。