【日本シリーズ予想=大下剛史氏・広島4勝3敗】レギュラーシーズンのような長丁場の戦いでは強いチームが勝つ。優劣をつけるのは難しいが、どちらが強いかといえば広島だろう。ただ、単純な戦力差で勝敗が決まらないのが、日本シリーズのような短期決戦でもある。

 ソフトバンクの強みは松田宣の存在だ。先の西武とのCSファイナルSでは最後に3戦連続でベンチスタートと悔しい思いをしたが、彼は打つ、守るだけでなく、プレー以外のパフォーマンスでもナインを鼓舞することができる。日本シリーズでは1プレー、ときに1球で流れが変わってしまう。一瞬でベンチのムードを明るくできる松田宣の存在は大きい。優等生揃いの広島にはいないタイプだ。

 両軍指揮官のキャラクターも対照的である。広島の緒方監督が「静」なら、ソフトバンクの工藤監督は「動」。現役時代から大舞台には強く、場数も踏んでいる。勝負度胸という点でも工藤監督に分があるように思う。指揮官の個性が顕著に出るのも短期決戦の面白さで、見どころの一つになるはずだ。

 ファンの気質にも似たところがあり、優劣はつけがたい。ホームゲームが4試合あることと“地元びいき”で広島の4勝3敗と予想したが、日本シリーズらしい深みのある戦いになるのではないだろうか。(本紙専属評論家)