パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第5戦(メットライフ)が21日行われ、ソフトバンクの主砲・柳田悠岐外野手(30)がチームを初の下克上でのCS突破に導いた。
初回、無死満塁のチャンスで西武先発・ウルフから左中間を深々と破る走者一掃の適時二塁打。ファイナルステージで3度目となる初回の先制打を放つと、1点差に迫られた直後の6回にもウルフのカーブをフルスイング。右翼席に運んだ。
過去のCSでは苦しみ、昨季までで通算19試合に出場して打率2割2分5厘、2本塁打、8打点。今季の日本ハムとのファーストステージも3試合で打率1割1分1厘、0本塁打、1打点。チームで3戦8発と空中戦を展開する中でもカヤの外となっていた。
それがシーズンでは自身にとっても鬼門となっていたメットライフの西武戦で逆襲の大爆発。「今年はメットライフドームでいい成績を残せなかった。悔しさを晴らせたかなと思います」。今ステージでは打率4割5分、2本塁打、8打点をマークし、初のCSでのMVPにも選ばれた。
日本シリーズを戦う相手は、自身の出身地の球団でもある広島だ。「カープ男子」としての夢でもあった大舞台での地元凱旋が決定した。子供のころから熱心な赤ヘル党で、広島市民球場に足を運び声援を送っていた。ヒーローは走攻守3拍子揃った野村謙二郎(広島前監督)だった。今回のCSでも、球場スタッフのライオンズのシャツを着た青年に「どこファンなん? 正直に言ってみて。オレ(ソフトバンクの選手でも)カープファンやから大丈夫」と謎のイジリ。ジョーク交じりにファン宣言をしていたほどだった。ひと足先に広島の突破が決まり「広島に行きたい」とも話していた。
昨季は両軍ともにリーグ優勝しながら広島がCSで敗れた。2年越しの対戦実現に「日本シリーズでカープと戦えるというのが、小さいころから考えると想像できないようなこと。そこをかみ締めながら頑張りたい」。
2年連続日本一への道はつながった。柳田は「あと4つ勝ちます!」と宣言した。