第3次・原政権に早くも心配の声 全権カリスマに名門復活託すが

2018年10月21日 11時00分

由伸コールを送る広島ファンに手を上げて引き揚げる由伸監督

 巨人がクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージで王者・広島に1勝もできないまま、3連敗で終戦となった。今季限りでの辞任を表明していた高橋由伸監督(43)はこれが最後の試合となり、球団はリーグ優勝7回、日本一3度のカリスマ指揮官・原辰徳氏(60)に“全権”を委ね、名門復活を目指すことになった。では、来季の陣容はどうなるのか。球団内も混乱しており、不安の声も噴出している。

 由伸巨人の旅が終わった。最後まで赤い壁が眼前に立ちはだかった。ゲレーロが空振り三振に倒れ、戦いは幕を閉じた。背番号24はナインを率いてベンチを出ると、左翼上部スタンドのG党へ向け、帽子を取って深く一礼した。自身の応援歌が流れ、球場一円の拍手を背に受けながら、静かにグラウンドを去った。

 試合後の会見。由伸監督はかすかに笑みを浮かべ、両目は潤んでいた。震える言葉で「勝てなかったということが全て。自分なりには精一杯やったつもりです」。現役時代から通じて21年間の思いは、今はまだ整理がつかない。「改めて、今度話します」とし、球場を後にした。

 今月3日の辞任発表から、由伸監督は変わった。ひと回り以上年が離れた若い選手たちにも積極的に声をかけ、試合中には笑顔が多く見られるようになった。皮肉なことだがチームはそんな指揮官との別れを惜しむように息を吹き返し、快進撃を始めた。「監督と一日でも長く――」。輝き出したタクトに応え、ナインも意地で広島まで駒を進めたが、進軍もここまで。敵地で王者を打ち破ることはできなかった。

 息つく暇なく、チームは新たな指揮官の下で再出発する。近日中に由伸監督の退任会見が開かれ、原辰徳氏の来季監督就任が発表となる見通しだ。首脳陣の顔ぶれも一新され、球団は在任12年でリーグ優勝7回、日本一3度のカリスマ監督に“全権”を委ねて名門復興を期す。

 ただ、再建への道のりは前途多難と言わざるを得ない。由伸監督がまいた種がようやく芽吹き始め、野手陣では岡本を筆頭に吉川尚、田中俊、大城らが台頭した。一方で阿部、長野ら優勝の味を知る選手の高齢化も進み、戦力層は決して厚くない。

 投手陣の状況はより厳しい。今季は澤村、マシソン、カミネロ、上原のリリーフ陣が壊滅し、V逸の主原因となった。終盤は山口俊、畠を配置転換して立て直しを図ったが、あくまで緊急避難的な措置だった。故障帰国したカミネロは退団確実。同じくマシソンは手術明けでどこまでやれるか不透明。来季はどんな方程式を組むのか、新首脳陣の手腕が試される。

 勝つために、補強には積極的に乗り出す。まずは今季限りでマリナーズを退団した岩隈久志投手(37)の獲得に動く。FA戦線では広島・丸、西武・浅村、炭谷の本格調査を開始する。ただ威光が陰る巨人の苦戦は必至だ。そもそも中堅手の丸以外は補強ポイントに合致するのか、球団内でも賛否は分かれている。

 指揮官交代と鹿取GM解任に伴う組織の混乱も不安要素だ。現在は石井球団社長が事実上GMを兼務している状態だが、組閣を優先して新外国人調査とドラフト戦略は停滞中。球団フロントが、揃って「我々の知らないところで物事が動いている」と困惑を隠せないでいるのも気になる。

 全権を委ねられた新指揮官の下、巨人はどんな姿に生まれ変わるのか…。新チームは秋の宮崎から再起を図る。