パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第2戦が18日、メットライフドームで行われ、1位の西武が13―5で2位のソフトバンクに大勝。対戦成績を2勝1敗(アドバンテージ含む)とした。この試合で3ランを放った西武・浅村栄斗内野手(27)には今オフFA移籍がささやかれているのだが、早くも「年俸7億円超えの5年契約以上」の声が浮上。グラウンド外でも激しい争奪戦が必至の情勢となっており、西武球団内からは「FA引き留め」の絶対令が出されている。

 ノーガードの打ち合いこそが西武の必勝パターンだ。初回に栗山の2号3ランで先制した西武は直後の2回、先発・多和田が立ち上がりを攻められ、一塁・山川の中継プレーでの悪送球などもあり、すぐに3―3の同点に追いつかれた。

 しかし「守備のミスは打席で取り返す」が信条の西武は、すかさずその裏、源田の適時打で勝ち越すと頼れるキャプテン・浅村がCS初本塁打となる3ランを左翼スタンドへ。この一発でノーガードの打ち合いは一転、西武のワンサイドゲームへと移行していった。

 浅村は「3―1のいいカウントになったので、真っすぐ8割ぐらいの感じで思い切っていけた。連敗はできない。どんな形でも勝つという気持ちだった。全員で勝った1勝だと思うので良かった」と淡々と試合を振り返った。

 その浅村はプロ10年目の今季、キャリアハイとなる打率3割1分、32本塁打、127打点の大活躍でMVPの大本命。シーズン中に取得した国内FA権を行使することになれば、移籍市場の超目玉として空前の大争奪戦が予想されている。

 現状では浅村にとってのレジェンド・松井稼頭央外野手(42)と並ぶ憧れの人、中島裕之内野手(36)のいるオリックスと、昨年まで良き兄貴分として慕っていた渡辺直人内野手(38)の在籍する楽天が「宣言をした場合の2強球団」として水面下で激しい綱引きを展開していると言われている。

 そこにソフトバンク、巨人などFA補強の常連球団が参戦してくれば条件は一気に青天井。一部では「年俸7億円超えの5年契約以上」という空前絶後の契約が今から噂されている。

 もちろん手を挙げられたらマネーゲームでは太刀打ちできない西武も、最大限の誠意を尽くして流出を全力阻止する方針だ。チーム関係者が「今、チームから抜けられて一番痛いのは浅村。チームにとって一番大きい存在。チャンスにあれだけ強い打者は他にいない。山川が本塁打王を取れたのは浅村のおかげ」と最大級の賛辞を並べ、浅村流出に危機感を募らせている。

 西武では「FA交渉はすべてのシーズン日程を終えてから」という不文律があるものの、25日に迫ったドラフトへの影響も踏まえてCS前の宮崎・南郷キャンプ中に浅村と何らかの話し合いが行われた模様だ。

 浅村の引き留めには「中村を超える最大限の誠意が必要」(球団関係者)とも言われており、中村が持つ球団の日本人最高年俸4億1000万円(推定)プラス出来高提示を超えるのは確実。「5億円プラス出来高」での4~5年複数年契約あたりが予想される。

 ただ、ひとたびFA宣言されてしまえば、流出は避けられそうにない雲行き。西武はその誠意で、どこまで偉大なキャプテンを思いとどまらせることができるのか。短期決戦の動向と並行して注目される浅村FA問題だ。