【セCS】好投の大瀬良 妥協排除で呼んだ確変

2018年10月18日 16時30分

大瀬良とタッチを交わす緒方監督

 まさに横綱相撲だ。広島は17日の巨人とのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第1戦(マツダ)に6―1で快勝。王者の底力をまざまざと見せつけた。“開幕投手”を任された大瀬良大地投手(27)が6回5安打1失点と好投。昨季まで安定感を欠いた右腕が今季は最多勝タイトルを獲得するなど大黒柱に成長した。確変の裏に何があったのか。

 大事な初戦を託された大瀬良が最大のピンチを迎えたのは4―0の6回だった。1点を返され、一死一、二塁から岡本を捕飛に打ち取るも、陽岱鋼に四球を与えて満塁。一発が出れば試合をひっくり返される窮地で、長野をカットボールで二飛に仕留めて最少失点で切り抜けた。

 最速150キロの直球にカットボールを有効に使って相手打線に的を絞らせなかった。終わってみれば6回5安打1失点の好投。緒方監督に「気持ちが高ぶって球が暴れるかと思ったが、うまい具合に力を入れて、しっかり最初から投げてくれた」と褒められた大瀬良は「(6回は)大事にいきすぎた。シーズン中ならソロ(本塁打)OKという感じで大胆に攻めていたかもしれないけど、短期決戦なので慎重に投げてもいいかなと。(次回登板は)行けと言われたところで行くだけ」と力強く語った。

 2014年、17年は先発陣の一角を担って10勝を挙げながらもふがいない投球も目立ち、首脳陣の信頼を得るまでに至らなかった。だが、今季は大黒柱としてフル回転し、最多勝(15勝)と勝率1位(6割8分2厘)の2冠に輝くなど覚醒。安定感のある投球を可能にしたのが徹底した“妥協の排除”だ。

 大瀬良は毎シーズン、交流戦を迎える6月ごろに疲れを感じるようで「開幕に向けてキャンプからずっと気を張ってやるんだけど、そのくらいで一度かなり疲労感がやってくる」という。例年はそこから疲労回復を重視し、ウエートトレーニングでは通常140キロの負荷をかけて10回×3セット行うスクワットを130キロに軽減し、30メートル×10本、10メートル×5本といった通常のランニングメニューを回避してきた。だが、今季から「トレーナーと相談しながら、トレーニングの強度や負荷を落とすのはやめようということになった」。

 これがプラスに作用した。1・52秒が目安とされる10メートル走は自己最高タイムの1・42秒を記録するなど夏場も体はしっかり動いた。「去年は1・6秒とかタイムが落ちていた。体がきつくてもムチを打ち続けてよかった」。夏場の体重減も悩みの一つだったが、食生活に気を配ったことで逆に94キロから97キロと増量に成功。パワーを維持することにもつながり、シーズンを通して持ち前のパフォーマンスを発揮することができた。

 温厚な性格でも決して自分を甘やかすようなことはしない。苦しんだ分だけ、日本一を手にしたときの喜びは代えがたいものになるはずだ。