虎再建目指す阪神・矢野新監督を待ち受ける「三重苦」

2018年10月17日 11時00分

就任受諾会見に臨んだ矢野新監督

 阪神から次期監督の就任要請を受けていた矢野燿大二軍監督(49)が15日、兵庫県・西宮市内の球団事務所で会見を開き、正式に受託する意向を明かした。17年ぶりのチーム最下位で事実上の「解任」になった同級生の金本知憲監督(50)の後を受けて「第34代監督」になるが、目の前には数々の試練が待ち構えている…。

「いろいろと悩みましたが、タイガースの監督をやらせてもらうことになりました。本当に悩みましたが、逃げてやらない後悔より、やってみるべきと」

 男前の矢野監督に、いつもの爽やかスマイルはなかった。苦渋の決断だけに無理もない。チームは、どん底の最下位。しかも、電鉄本社トップの介入により、志半ばで球団を追われた鉄人の後を受けての一軍監督の座だ。

「今年の金本監督の大変な姿を見てたので、このタイミングでは…と。阪神監督という職責の重さに悩みました」と、苦しい胸中を何度も語りながら会見を終えた。

 交渉役の揚塩健治球団社長(58)は「お受けいただいてホッとしている。矢野監督の持ってる力に託したい。金本路線を引き継げるのは矢野監督と思う」などと話した。鉄人に詰め腹を切らせた次期オーナーの藤原崇起阪神電鉄代表取締役会長(66)は「金本前監督の後に、ふさわしい人に受けていただいた。これでタイガースもいい方向でやっていける」と強調したが、矢野監督になっても問題は山積みだ。

 まずは新監督をバックアップすべき新組閣作業だ。

「金本監督の来季続投を見込んで招聘されていた元中日の和田一浩氏からは、すでにお断りの連絡があって、もうない。前体制でコーチは来季全員残留と内示されており、なかなか今、切るわけにいかない。配置転換して、やりくりするしかない」(球団関係者)

 前日14日に辞任した片岡篤史ヘッド兼打撃コーチ(49)以外の“最下位首脳陣”が残ることで、思い切った血の入れ替えは不可能。二軍から浜中治打撃コーチ(40)、藤井彰人バッテリーコーチ(42)、福原忍投手コーチ(41)、藤本敦士守備走塁コーチ(41)ら気心の知れた面々を昇格させる方針だが、いかんせん心もとない。

 矢野監督と中日時代から親交のある楽天の清水雅治一軍外野守備走塁コーチ(54)をヘッドコーチとして招聘するプランが急浮上。今中慎二氏(47)の名前も挙がってはいるが…。平田勝男一軍チーフ兼守備走塁コーチ(59)は二軍監督に就任する見込みだ。

 今オフのFA補強も心配だ。目玉には西武・浅村、広島・丸、日本ハム・中田、投手ではオリックスの西ら、候補は多いが、「今年は最初から諦めているのか、ウチは実際、現時点で何も動いていない」(フロント関係者)とのこと。

 今季の敗因になった得点力不足を補うには何より補強がものを言うのに、仕掛けが遅すぎるのは気にかかる。

 最後は矢野監督に今後、課せられる“クビ切り”の役目だ。

 若手が育ち始めた一方、来年は福留孝介外野手(41)、鳥谷敬内野手(37)、能見篤史投手(39)、藤川球児投手(38)、岩田稔投手(34)ら、実績と人気のあるベテラン組が衰えることは確実。それだけに「就任1年目からベテランの肩を叩く仕事も待っている。いつかは非情にならなければいけない。共にやってきた選手には、なかなか言えないだけに、できるかどうか。本当は中継ぎの監督の下で2年ほどコーチをやって監督にならせるのが理想だった」(フロント幹部)と不安視されている。

 まさに新監督の目の前には数々の問題が…。もともと貧乏クジ覚悟で一軍監督を引き受ける決断をしただけに「超積極的」のスローガンで二軍を今季日本一に導いたその手腕に期待したい。