2位・ソフトバンクが15日、3位・日本ハムとのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦(ヤフオクドーム)に5―2で快勝。西武が待ち構えるファイナルステージにコマを進めた。突破の原動力となったのがアルフレド・デスパイネ外野手(32)だ。決勝弾を含む2打席連発の大暴れ。初戦でも決勝のグランドスラムを放ち、シーズンの汚名を返上する大活躍を見せた。さらには8月中旬から二軍調整を続けてきた内川が電撃昇格することも判明。シーズンで苦しんだ主力の大逆襲で下克上の準備は整った。

 1勝1敗で迎えた第3戦。またしてもデスパイネが試合を決めた。同点の4回に日本ハム先発・杉浦からバックスクリーン左へ運ぶ決勝ソロ。続く打席でもトンキンから超特大の一発を放った。工藤監督も「すごいなと思います。2本とも完璧でしたしね」と感心しきりだった。

 初戦でも決勝のグランドスラムを放ち、CS3戦で打率5割4分5厘、3本塁打、6打点。シーズンの汚名返上の大爆発を見せている。今季は数字以上に打線のブレーキとなり、持ち味のここぞの本塁打も激減。何度も「これなら若い選手を使った方がいい」との声が噴出していた。

 今回のCS前にしても同様だ。同じキューバ人野手のグラシアルは超がつくほど真面目で、つなぎの打撃もできる。その比較や外国人枠の兼ね合いで“デスパ外し”を推す声もあったほど。12日のCS前日練習ではウオーミングアップの時間に出てこず、首脳陣が確認に行ったところ腹痛を訴えたため練習を早退。何ともいえない空気も漂っていた。

 それが大一番で圧巻の勝負強さを見せている。かつて達川ヘッドコーチがWBCでのデスパイネを見て「ここぞという場面で集中力のある外国人は怖い。クロマティおったじゃろ」と大絶賛。抜群の勝負強さを誇った巨人のレジェンド助っ人の名前を出して例えたこともあったが、まさに本領発揮の活躍。西武との決戦でも頼もしい限りだ。

 それだけではない。さらには下克上への切り札がファイナルステージで登場することになった。8月16日に登録を抹消されて以降、リハビリ組やファームでの調整となり、フェニックス・リーグで調整中だった内川が、宮崎から“電撃合流”することになったのだ。

 当初は代打などの起用になる可能性もあるが、過去3度もCSでMVPに輝いている。今季は2000安打達成も悔しい一年となったが、短期決戦でナンバーワンといってもいい勝負強さを誇る。チームはメットライフドームで今季3勝9敗と負け越したが、本気のクロマティモードのデスパイネと、ミスターCS・内川が加わった打線は強力だ。

 過去、プレーオフ、CSで下克上を許したのはパ・リーグではソフトバンクのみ(04、05、10年)。シーズンで苦しんだ主力の雪辱パワーで逆襲を図る。