今季限りでの電撃退任を表明した阪神・金本知憲監督(50)が12日、今季最終戦の中日戦(13日=ナゴヤドーム)に向けた甲子園での指名練習に姿を見せた。開始前に選手、コーチ、スタッフが集められ、谷本球団本部長から指揮官の辞任について説明が行われた。

 金本監督は笑顔を見せながら選手の打撃状態をチェック。「今後、大きく育ってほしいと思いながら見ていた。順調に伸びた選手もいれば、伸び悩んでいる選手もいるから」と“愛弟子”たちへの思いを口にした。この3年間、不振に苦しんだ藤浪は「全然活躍できなかったのに気に掛けて枠を使ってもらった」と沈痛な面持ちだった。そんななか、球団は新監督候補を矢野燿大二軍監督(49)に一本化。次期オーナーの阪神電鉄・藤原会長は「今日は何もありません。何かあれば球団のほうから連絡があると思います」と話すにとどめたが、近々にも正式要請する。

 ただ、球団内では矢野二軍監督が今回の要請を引き受けるべきか否かでかんかんがくがくだ。今季、12年ぶりのファーム日本一に輝いた実績を評価し「指揮を執るチャンスがあるときにやるべき。和田元監督もそういう思いで引き受けて一定の結果を出してくれたから」「星野仙一さんも金本監督が就任を悩んでいるときに『火中の栗を拾うのも男の仕事だ』と言っていた。矢野さんにも今こそ引き受けてほしい」というのが賛成派の意見だ。一方、反対派は「初の一軍監督なのに、今の厳しいチーム状況でやってもらうのはあまりに酷」「経験ある監督のもとで一軍ヘッドコーチをやってから就任するのがベスト」と手腕を評価しつつも時期尚早と見ている。阪神の命運を握る矢野二軍監督の決断やいかに。