金本知憲監督(50)監督の電撃辞任を受けて、阪神は後任として昨季までの2年間、金本監督の右腕として一軍の作戦兼バッテリーコーチを務めた矢野燿大二軍監督(49)に就任要請することを決めた。

 二軍監督就任1年目の今季は失敗をとがめない「超積極的」をスローガンに掲げ、チーム163盗塁でウエスタン・リーグ記録を更新するなど手腕を発揮。攻撃的な野球でリーグ制覇を果たし、巨人とのファーム選手権を制して8年ぶりの二軍日本一を奪取した。ドラフト4位ルーキーの島田や3年目右腕・望月など二軍から昇格した若手が即活躍するなど、若手の育成にも定評がある。さわやかなルックスで女性人気も高く、球団内では「金本さんの次を任せるならば矢野さんしかいない」との声もあった。

 ただ、一軍監督となれば本人にとっても想定外のこと。そもそも直前まで球団から要請を受けていたのはヘッドコーチ格での一軍復帰で、東北福祉大時代にも同じ釜の飯を食べていた金本監督の事実上の解任には少なからず動揺もある。同じく東北福祉大出身で現役時代に西武、中日で活躍した和田一浩氏への一軍打撃コーチ就任要請も白紙になる見通しだ。

 次期監督の交渉が難航するようなら「ミスタータイガース」こと掛布雅之オーナー付シニアエグゼクティブアドバイザー(63)も候補として浮上する。昨季まで2年間、二軍監督を務め、今季終盤から開花の兆しを見せた大山や一昨年の新人王・高山らを指導。選手目線での指導にも定評がある。

 岡田彰布氏(60)の再登板の可能性もある。2005年のリーグ制覇を筆頭に就任5年間でAクラス4度と実績は文句なし。阪神再建策について「まず、指揮官を代えること」と発言した、ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった本庶佑京都大特別教授(76)は、岡田氏の後援会会長としても知られる。