ヤクルトの山田哲人内野手(26)が9日のDeNA戦(神宮)でレギュラーシーズン全日程を終え、打率3割1分5厘、34本塁打、33盗塁でプロ野球史上初となる3度目のトリプルスリーを達成した。米大リーグを含めて3度の快挙はバリー・ボンズと山田哲の2人だけ。来季は4度目のトリプルスリー、さらにプロ野球では前人未到の40本塁打、40盗塁への期待も高まるなか、山田哲はあらゆるプレーを高水準でこなす“パーフェクトヒューマン”を目指す。

 シーズン最終戦で山田哲は4打席に立って2四球を選んだものの、2打数無安打。クライマックスシリーズ(CS)前、最後の試合でいいところを見せられなかったこともあり「シーズン前から個人的な目標にしてきた数字をクリアできて素直にうれしいです」と話しながらも、その表情は厳しかった。

 3度目のトリプルスリーは日本初の快挙。米大リーグを見渡しても3度の達成はバリー・ボンズ(パイレーツ時代の1990、92年とジャイアンツ時代の96年)しかいない。師匠でもある杉村繁巡回コーチ(61)は「あのイチローですらできなかったことを3回もやるっていうのはすごいことだよ」と愛弟子の偉業には目を細める。

 そこで気になるのが次なる目標だ。来季は4度目のトリプルスリーに加えて、日本では誰も達成したことのない40本塁打&40盗塁の「40―40」にも期待がかかる。ただ、現時点で山田哲は来季の目標に関して「まだ決めてない」。これまで一緒に目標設定をしてきた杉村コーチも「困るなあ。どうしようか」と言う。

 ただ、山田哲はぼんやりとながら目指す方向は決めている。今季限りで現役を引退する西武の松井稼頭央外野手(42)のような、走攻守に優れた「5ツールプレーヤー」になることだ。

 5ツールプレーヤーとは主に米大リーグで使用される言葉で「バッティング・ミート」「パワー」「走塁技術とスピード」「守備力」「送球能力」のすべてが高水準にある選手を指す。

 日本では山田哲が「一番、憧れている人」だと言う松井やソフトバンクの柳田悠岐外野手(30)が代表例として挙げられることが多い。

 山田哲は松井について「守備もいいし、肩も強い。(打率が)3割を何度も超えているだけじゃなく、本塁打も打てる」と話した上で「(自分の目指す)モデル」と力を込める。

 5ツールのうち山田哲の課題は守備力にある。毎年のようにトリプルスリーとともにゴールデン・グラブ賞の獲得を目指しているが、今年も13失策で極めて厳しい状態だ。それでもプロ野球で数人の“完全無欠な選手”への道へと進んでいく。