2008年Vの“デジャビュ”か。マジック1で30日の日本ハム戦を迎えた西武が、10年ぶりとなるリーグ制覇を当時と同じ札幌ドームで、試合に1―4と敗れながらソフトバンクの敗戦(1―9)によって決めた。

 当時、渡辺監督(現シニアディレクター)が指揮する西武は王手をかけて札幌に乗り込んだが、目の前の日本ハム戦に0―2と敗れながらマジック対象チームだったオリックスが敗戦。試合中にその報を知った「デーブ」こと大久保博元打撃コーチが、ベンチで男泣きし始めるというハプニングもあった中での優勝だった。

 今回の西武は完全に“連勝疲れ”のガス欠状態。14日の楽天戦(メットライフ)から28日のソフトバンク戦(同)まで破竹の12連勝でマジックを1まで減らしたが、地元胴上げがかかった29日の本拠地最終戦に1―3と惜敗。1958年、前身の西鉄が13連勝で優勝を決めて以来、60年ぶりの快挙も絡んだ本拠地Vが「あと1勝」のところで崩れ、最後の坂道を全力で駆け上がってきたナインの疲労は限界を超えた。

 今季、強力打線をここまで120打点とけん引してきた主将・浅村のバットは24日の楽天戦(楽天生命)で30号本塁打を放って以降、この試合まで4試合連続ノーヒットが続いていた。8回の第4打席でようやく24打席ぶりの安打となる右前打をマーク。打線全体でも24日の楽天戦以降、奪った得点は本塁打(計10本)と犠飛(1)、内野ゴロ間(1)によるもののみと、6試合連続の“タイムリー欠乏症”が続いている。

 しかし、フィニッシュはどうあれ、今シーズンが圧倒的に「西武の年」であった事実は変わらない。打って打って打ちまくって2001年の近鉄のいてまえ打線を超える、シーズン771得点でゴールに到達した西武が「野球は守備力、投手力」というセオリーを覆す超攻撃野球で通算22度目のリーグ制覇を成し遂げた。s