広島V3呼び込んだ投打の要・大瀬良 自ら殻破り進化

2018年09月27日 16時30分

菊池(左)にビールを浴びせられる大瀬良

 入団時から広島の「エース候補生」の呼び声高かった大瀬良大地(27)は5年目にしてエースの座を射止めた。不安定な投手陣にあって一度もローテーションを外れることなく25試合に先発し、15勝7敗、防御率2・53。勝ち星はリーグトップで防御率は同2位。MVP、沢村賞も手の届くところにある。

 片鱗は見せていた。ルーキーイヤーの2014年と昨年は先発枠の一角を担って10勝をマーク。ただ、ポテンシャルの高さからいえば10勝は到達点ではなく通過点であるべき数字で、周囲も満足することはなかった。

 課題とされたのは精神面の弱さだ。中継ぎを務めた15年シーズン最終戦、10月7日の中日戦では0―0の7回から登板し、一死しか奪えず3失点してチームはCS進出を逃す結果に。試合中のベンチで悔し涙を流して「それでもプロか」と批判もされた。

 同じことを繰り返していては殻は破れない。昨オフ、恒例となっていたドジャース・前田健太との合同自主トレへの参加を見送った。「人に合わせてしまうところがあるので」。自主トレは初めて単身で臨んだ。そして“行動の変化”は投球の幅を広げることにつながった。

 もともと直球に加えてスライダー、カットボールといった横の変化を中心とした持ち球がメインだったが、首脳陣からは縦変化の球種の重要性を説かれた。大瀬良自身、横変化の球種にこだわりを持っていたわけではなく「縦に落ちる球を覚えないといけないというのはあった」。フォークのレベルアップにも着手した。

 自然と積極性や貪欲さも出てきた。今春キャンプでは、昨季から投球フォームを参考にしていた斉藤和巳氏が仕事で訪れた際に“直撃取材”を敢行。「小さいころからテレビ越しに見ていた人だったし、めっちゃ緊張したけど、こういうタイミングしか話せる機会はないので」とフォークについてアドバイスを求めた。

 黄金期のダイエー、ソフトバンクでエースを務め、2度の沢村賞に輝いたレジェンド右腕からの教えは「直球と同じ感覚で腕を振ってベース前で叩き付けるように投げたらいいよ。ワンバウンドしてもいいから」というもの。それまでストライクゾーンで勝負していた大瀬良にとっては「新しい発見」だった。握りは変えず、狙いを変えたことで昨季10個だったフォークでの奪三振は29個に増え、強力な武器となった。

 かつてのようにマウンドで喜怒哀楽をあらわにすることもなくなった。変化を恐れず確実に進化した大瀬良は、名実ともにチームの大黒柱となった。