広島V3 愛弟子・堂林へ新井の最後のレッスンは…

2018年09月27日 16時30分

エルドレッド(左)と堂林(右)からビールの集中砲火を浴びる新井

【赤ペン!赤坂英一】広島3連覇を花道に今年でユニホームを脱ぐ“新井さん”に、何か心残りはないのか。
 2015年に広島に復帰して以来、彼がいかにも歯がゆそうにこんな話をしていたことを、私は覚えている。

「堂林を見てると、昔の自分を思い出すんです。僕とかぶってる部分が多いでしょ。同じ右打ち、同じ長距離打者で、入団してからずっと期待されてる。なのに、なかなか結果を出せない、というところまで似てるから」

 かつて甲子園のアイドルだった堂林もすでに入団9年目。いまだ一軍に定着できず、後輩の鈴木や野間にも差をつけられている。周囲でささやかれる限界説に、新井はこう反発した。

「いや、堂林自身の打撃は昨年、一昨年に比べるとものすごく伸びてるんですよ。技術的な面ではかなりレベルアップしてる。ただね、カープには伸び盛りの選手が多くて、周りが堂林以上に力をつけてる。それでなかなか控えから抜け出せないんですよね」

 堂林に“新井道場”への入門を勧めたのは、石井琢(現ヤクルト)、東出の両打撃コーチだった。広島が優勝を逃した15年オフのことで、堂林は新井の元に日参。新井にもらったバットを振り、新井と同じジムに通い、自主トレ中は鹿児島の最福寺に同行して護摩行にも挑戦している。

「僕が無理やり引っ張ってったんじゃなく、堂林のほうから連れてってください、と言ってきました。ちょっと打撃を見てほしいとか、アドバイスをお願いしますとか、彼はとにかく熱心で純粋で、真面目で真っすぐ。だから、見ていて手を差し伸べたくなるし、教えていてもつい熱が入っちゃうんです」

 ファンならよく覚えているように、そう語る新井の打ち方は非常に独特だった。野球用語で「ヘッドを入れる」フォームで、バットを立てずに先端を投手の方に向けて構える。あの豪快な打ち方を堂林が会得したら、どれほどすごい打者になるか、新井自身も首脳陣も期待して見守っていたのである。

「ただね、最初のころは僕もバットを立てて構えてたんです。いろんなものを取り入れていくうち、だんだん今の形が出来上がった。打撃は奥が深いですよね」

 CS、日本シリーズでも、新井ならではの奥深い打撃を見せてほしい。それを堂林ら若ゴイに受け継がせるためにも。