広島V3 大下剛史氏「駄々っ子のようなイメージだったが…28歳菊池の成熟」

2018年09月27日 16時30分

新井(左)に日本酒を浴びせる菊池

【熱血球論 大下剛史】広島は2位のヤクルトに9・5ゲーム差をつけてリーグ3連覇を達成した。しかし、決して楽な戦いではなかった。チーム打率2割6分5厘はリーグ2位ながら172本塁打と691得点は断トツ。一方、チーム防御率4・12の投手陣のやりくりには苦しんだ。それでも38度の逆転勝ちに象徴されるように粘り強く戦えたのは、二塁を守る菊池涼介の働きがあったからだ。

 打率は2割3分6厘と確かに低い。レギュラーに定着した2013年以降では最低で、本人ももどかしく思っているだろう。ただ、菊池の価値は数字で表しきれないところにある。特に守備での貢献度は計り知れない。

 何をいまさらと言うなかれ。確かに突出した守備力は、デビュー時から菊池の最大の魅力だった。しかし、それは圧倒的な身体能力の高さに依存した馬力任せのプレーであり、体への負担も大きかった。それが今年は粗さが消え、相手の戦術であったり、カウントを考えて一手先を読むようなキメの細やかさが多く見られるようになってきた。「セカンドの面白さ」が分かってきたのだろう。

 どちらに転ぶか分からないような試合を何度、菊池の守備で助けられたか分からない。安打性の当たりを好捕してピンチの芽を摘むことで相手ベンチを意気消沈させ、自軍には攻撃のリズムを生み出す。菊池らしさが存分に発揮されたシーズンだったと言ってもいい。

 二遊間でコンビを組む田中が落ち着いた印象なのとは対照的に、菊池は駄々っ子のようなイメージだった。それがひと皮むけて成熟した大人になったと言ったら分かりやすいだろうか。犠打や走者を進める右打ちなど、何かと注文の多い2番という打順で輝きを放てるのも菊池だからこそ。まだ28歳。さらにもう一つ上のレベルを目指して内面を磨いていくことで、その値打ちはもっと出てくるはずだ。
 (本紙専属評論家)