またも足踏みだ。首位の広島は25日のDeNA戦(マツダ)に3―5で敗れ、2位のヤクルトが勝利したためマジック1のまま優勝はお預け。球団初のリーグ3連覇は26日からのヤクルト3連戦(同)に持ち越しとなった。もはや優勝は時間の問題だが気になるのはここ一番での弱さ。周辺からは「この調子では今年もCSでやられるんじゃないか」と心配する声が上がり始めている。

 流れは悪くなかった。プロ5年目の中村祐は6月以来の先発で5回2失点と粘投。すると5回裏に中村祐の代打で登場した新井が一死三塁から犠飛を放って1点差。直後に2番手の一岡が1点を失ったが、その裏の攻撃で丸の38号ソロと松山の適時三塁打などで同点に追いついた。しかし7回から3番手で投げたフランスアが8回につかまってしまう。一死から筒香に四球を出し、ロペスに2ランを被弾。これには優勝を期待しマツダスタジアムに詰め掛けた3万2190人のファンからもため息が漏れた。

 それでも緒方監督は「残念でした、今日は…。また明日しっかりやるだけ。やっている野球は全然問題ない。粘り強く戦えているのでね…それだけ。明日勝ちましょう」と力強く話した。今季限りでの現役引退を表明している新井は「明日に向けて準備をするだけ」と前向きで、選手会長の会沢も「いつか決まると思う。チームの雰囲気もいつもと変わらない。(26日からヤクルトとの)直接対決だから勝って決めたい」と意気込んだ。

 ただ、優勝経験のあるカープOBからは厳しい声も上がっている。OBの一人は「こんな優勝のかかったシーズン終盤に来てミスが多すぎる。しかも試合の中で勝負を左右するような失策をしている。こんな野球をしているようではCSに行って苦労することになる」と声高に訴える。20日の阪神戦からの本拠地6連戦で6失策し、いずれも失点に絡んでいる上に、試合も落とした。前出OBは「雑な野球をしているようでは、これから勝てない」とバッサリだ。

 8月18日にマジック30が再点灯してからの15試合を12勝3敗で駆け抜けたが、9月5日以降の16試合は今季ワーストの6連敗を含む5勝11敗と低空飛行が続いている。昨年は37年ぶりのリーグ連覇を達成しながら、3位からCSファーストステージを勝ち上がってきたDeNAに足をすくわれた。リーグ3連覇は時間の問題でも、34年ぶりの日本一奪回へ不安は尽きない。