この1勝が大きな意味を持つことになるかもしれない。阪神が20日の広島戦(マツダ)を5―4で制し、連敗を2で止めた。強い雨の影響から69分遅れで始まった試合は2回裏終了後に再び雨脚が強まり62分間中断。5回裏終了後にはグラウンド整備で12分間の中断を余儀なくされ、試合終了は日付も変わった0時3分。金本知憲監督(50)は「久々の午前様でしたね。試合が1時間遅れて中断もあって。記憶にないな。選手にケガがなかったことが一番で、その次に勝ったこと」と東京からの当日移動もあってヘロヘロになっていたナインをたたえた。

 異例の長時間ゲーム強行の裏には特殊事情があった。この日、新たに追加日程が発表され、10月9日に巨人戦(甲子園)が組み込まれた。26日のDeNA戦から14連戦になることが確定。規定ではCS開幕2日前(10月11日終了時点)の順位でCS出場チームを決めるため、阪神の雨天中止が増えると日程を消化できないまま暫定順位でCSを行うケースもありうる。セは8月28日から試合挙行の可否の決定や試合開始予定時刻の変更などをセ・リーグ統括が掌握する連盟管理節となっており、異例の事態を回避すべく連盟側が“強行”を決断した模様だ。

 ただ、おかげで阪神は3位・巨人に1ゲーム差と肉薄した。球団関係者も「中止になって後ろに試合を組み込まれて連戦が伸びるのは困るし、まして10月11日までに消化できない状況はまずい。うちとしては試合をやってくれてよかった。しかも勝てたから言うことはない」とエビス顔だ。運命の10・11まで気の抜けない戦いは続く。