西武が19日の日本ハム戦(メットライフ)に12―4と爆勝し6連勝。10年ぶりVへのマジックを「9」とした。大量援護を受けた先発の榎田は、7回3安打2失点で自身初の2桁勝利をマーク。攻撃陣にも休養を取らせながらの試合運びで、代わりに出場した若手が活躍するなど、いよいよ何をしてもうまくいく「確変モード」に突入した。

 今季最大のヤマ場と目されていたソフトバンク、日本ハムとの“5番勝負”を「全勝」というこれ以上ない形で終えた。しかも14日の楽天戦からの6連戦ではオール2桁安打で10、11、8、8、7、12点の計56得点。自慢の攻撃陣で、相手を蹴散らしてきた今季の西武は、日本球界の定説「野球は投手力」の概念を根底から揺るがしている。

 しかもこの日は「中村がちょっと疲れているのもあって、うまいことタイミングがあった」(辻監督)と、同郷の佐賀出身で4年目の山田遥楓内野手(21)を「8番・三塁」で初スタメン起用。するとその起用が見事にハマり、4回の第2打席でプロ初安打が初本塁打となる中押し2ランを放った。

 ソフトバンク・松田を尊敬し、交流もある山田はベンチ前でハイタッチを終えると、山川に促されるまま本家・松田のパフォーマンス「熱男!」を丸パクリ。ベンチの大爆笑を誘うなど、ノリノリだった。

「自主トレの時に松田さんから『やっていいよ』と言ってもらってます。松田さんからは『獅子男』と言われてます」(山田)と憧れの松田から、そのムードメーカーとしての役割まで貪欲に盗もうとしている。

 辻監督はそんな元気印を「彼の持ち味ですからね。良くも悪くも、あの元気のあるところが」とニンマリ。続けて「やっぱりみんながハルカに初ヒットをつけてあげたいと思っていて、すごくいい形での2ラン。かわいい後輩の初安打が初ホームランでみんなが祝福してましたよ」とベンチの盛り上がりを解説し、さらに目を細めた。

 チームの勝ちパターンは、常に重量打線が相手投手を完全粉砕するワンサイドゲーム。しかし、その主役は日々目まぐるしく変わり、ベンチのムードは最高潮をキープしたまま。その絶妙なタクトを操る辻監督の思い通りに、西武特急が優勝街道をばく進している。