あの男が東京ドームに帰ってくる!? 巨人は17日の中日戦(東京ドーム)に2―4で敗れ、再びワーストタイの借金7となった。中盤までは投手戦模様も先発メルセデスが粘り切れず、打線も見どころをつくれなかった。そんな寂しい試合で失意のG党を沸かせたのは、大型ビジョンに映し出された短いメッセージ。「WE ハート SHU」の意味するものとは――。

 勝負どころのはずだった7連戦は1勝5敗1分けと散々な結果に終わり、由伸監督は「(ガルシアは)いい投手というか、こちらの打撃をさせてもらえなかった」。2位のヤクルトをとらえるどころか、今や3位の座が危うくなっている。終盤の急失速にファンはストレスをためる一方だが、この日は本拠地に駆けつけたG党を「おおっ!?」とざわつかせる出来事があった。

 試合の合間に数度、大型ビジョンに28日に行われるDeNA戦の告知が映し出されたのだが、その最後に「WE ハート SHU」というメッセージがひっそりと添えられていたのだ。

 熱心なG党ならこれが何を意味するのかはすぐに気付いたはず。今月9日に栃木・小山で行われた村田修一内野手(37=BCリーグ栃木)の引退試合に、巨人選手とその関係者が27人の連名で贈った巨大なフラワーボードに記されていたメッセージだったからだ。

 試合後の巨人サイドは「察してください」として、メッセージの詳しい意図は明かさなかった。ただ28日の対戦相手のDeNAも村田の元所属球団。両軍の今季最終戦となる日に合わせ、何らかのセレモニーを準備しているのは間違いない。

 巨人には村田の処遇を巡る長い葛藤があった。昨オフ「若返り」を理由に戦力外を通告したものの、その後もNPB内から契約球団が現れなかったことは大きな誤算だった。幹部は想像以上に冷たい現場の反応に驚き、フロント内には日に日に後ろめたさが充満した。それでも「我々は追い出した側。出しゃばって動くことはできない」と最後まで静観してきた。

 だが村田引退試合の一幕が、巨人の心を動かしていた。「セレモニーの最後に花を渡した3人の息子さんたちがそれぞれ栃木、巨人、横浜のユニホームを着ていたでしょう。あれにはグッときた」(フロント)。古巣を恨んでも不思議でないなか逆に感謝を示した村田とその家族に対し、球団内では思いを返そうという機運が高まっていた。

 加えて総勢27人の選手、関係者名が記されたあのフラワーボードの威力も無視できなかった。「あれでウチの幹部陣も村田の存在感に今さらながら気付いた面がある。チームが割れてしまうような恐れを感じたんじゃないか」(別のフロント)

 引退表明直後の村田は「もう自分の思いはしゃべり切りました」と笑っていたが…。古巣の思いに応え、男は再び東京ドームに姿を見せるのか。だとすれば、巨人はどんな花道を用意しているのか。