西武の浅村栄斗内野手(27)が15日のソフトバンクとの天王山初戦(メットライフ)で、3―2と1点差に迫られた5回に27号3ランを放ち、勝利に貢献した。

「打ったのは真っすぐです。うれしい~。よかったです」と喜んだキャプテンは、8回の打席で代打を送られ、痛めている腰の治療のためトレーナー室へ直行した。

 天王山初戦を今季2試合目の登板の郭で取り「これは大きい。ウチはローテーションで投げてきた投手じゃないですから。(ソフトバンクの)千賀は絶対的エース」と喜んだ辻監督も浅村に最敬礼。「腰があれだけ痛いのに、キャプテンとしての強い気持ちもあるのだろう。ここというところでの集中力がすごい。勝負強さっていうのは結局技術があるんですよ。やっぱりタイミングの取り方が非常にうまいし、自分の間で打てるという技術力が高い。プラス集中力があるからいいバッターですよ」と絶賛した。

 このまま優勝が決まれば、この日2本塁打で、パ・リーグでは2011年の中村剛也(48本)以来となる40本塁打の大台に乗せた山川を抑えてMVPの大本命となってくる。また、この日で自己最多の111打点をマークし、打撃3部門全てでキャリアハイ。オフのFA市場に出た場合、争奪戦は必至の情勢だ。

 球界内ではすでに阪神やソフトバンクなどが浅村獲得に乗り出すとささやかれている。一方で、浅村の周辺からは「本人はまだ何も決めていない。せっかく子供のころから憧れていた松井稼頭央選手と同じユニホームでプレーできる機会に恵まれているのに、それをまず自分から投げ出したりしないと思う。(西武)残留の目も十分にあるでしょう。要は選手として一番評価をしてもらえる場所。メジャー? ないでしょう」という声も聞こえる。

 もちろん西武にとってはエース・菊池のポスティング問題と合わせ、キャプテンの引き留めは今オフの最重要課題のひとつ。ただ球団は「これまで通り全てはシーズンが終わってから。他の選手と同様、シーズン中に話をすることはない」(鈴木球団本部長)と、浅村の国内FA権に関する下交渉などは行わない姿勢を示している。

 西武はどんな誠意を持って応えていくのか。その動向が注目される。