3位・巨人は15日のDeNA戦(横浜)に1―3で敗れ、4年連続のV逸と、自力でのCS進出の可能性が消滅した。チームは引き分けを挟んで4連敗となり、借金も今季ワーストの7。Aクラス死守も危うくなる中、唯一の好材料は前夜に負傷交代した岡本和真内野手(22)が戦線離脱を免れたことぐらい。そんな若き主砲には、4番打者としての“真の自覚”が芽生えている。

 得点差以上にダメージの大きい敗戦だった。初回に二塁手の山本が平凡な飛球を捕り損ねて先制点を献上し、3回にはエース・菅野が3連続四球による押し出しでリードを2点に広げられた。低調な打線も巨人から人的補償でDeNAへ移籍した平良を攻略できず、6回までわずか1安打、二塁すら踏めなかった。

 この結果、今季の巨人の優勝の可能性は完全に消滅。由伸監督は「それは現実ですからね」と受け止めつつ「今日ですべてが終わりじゃないですから」と前を向いた。今後の状況しだいで、CS進出への望みは残すものの、苦境は変わらない。2位のヤクルトとは5ゲーム差に拡大し、最下位に転落した阪神まではたったの1・5差。まったく気の抜けない戦いが続く。

 そんな中で救いがあるとすれば、ひとまず岡本離脱という最悪の事態を回避できたことだろう。史上最年少での「3割、30本塁打、100打点」を射程圏に捉えながら前日(14日)の同戦でアクシデントに見舞われた。右手に死球を受けて病院直行となったが、一夜明けたこの日は親指と小指を固定し「4番・左翼」で先発出場。3打数無安打に終わった試合後は「右手は全然、大丈夫です」と気丈に振る舞った。

 ケガの影響がないわけがない。それでも、スタメン出場したのは本人の“直訴”があったから。岡本は「出られるか、出られないかと言ったら出られるので」と言い、村田ヘッド兼バッテリーコーチも「『出たい』って言われたら、出てくれってなる。出続けるという強い気持ちを持つことは大事なことや」と心意気に大きくうなずいた。

 岡本は以前、本紙に4番打者としての“覚悟”を明かしたことがある。「阿部さんに言われたことがあるんです。現役でいるうちに『修一(村田)ぐらい死球をもらっとけ』と。僕もそういう打者になれるように頑張ります」。相手に厳しく内角を攻められるのは、強打者と認められた証し。阿部も左打者最多となる148死球(歴代5位)を誇りにし、村田も150死球(同4位)に胸を張って引退した。岡本の死球はプロ通算4年で5個。今季だけで4個と“激増”したのは、チームの顔に成長したからこそだろう。

 もちろん勲章の代償として、そのたびごとに離脱しては主力は務まらない。だからこその出場志願だったのだろう。

 いよいよ窮地に追い込まれたチームを救えるのか。覚悟を決めた岡本のバットからは今後も目が離せない。