パ・リーグの首位攻防3連戦となる西武―ソフトバンク戦(メットライフ)が15日、メットライフドームで行われ、首位の西武が11―5で先勝。2位・ソフトバンクとの差を4・5と広げた。

 ソフトバンクにとってはまさかの黒星だった。初戦を任せたエース・千賀滉大投手(25)が5回途中7失点KO。大誤算の大敗を喫した。

 立ち上がりから力みまくった。初回に2暴投で先制を許し、いきなりの3失点。2回以降は落ち着きを取り戻したが、打線が1点差にまで追い上げた5回に浅村と山川に連続アーチを被弾した。

 試合後は「(初回は)試合自体に(気持ちが)入りすぎてしまった。いつもと違うことをするのはメンタルの弱さだと思う。普段通りマウンドに上がれるのがよかったが、負けられないという思いが余計な気持ちになってしまった」と話した。

 ある意味で成長の過程ともいえる大一番での気合が裏目に出た形となってしまった。もともと千賀は投球フォームなど技術面に徹底的にこだわるタイプ。大舞台に気負うこともほとんどなく、むしろ、あまりに淡々としていることから“無責任”に見えたこともあった。そんなこともあり、チームを支える重みを持って投げる「エースとしての自覚」を持たせていくことが課題とも見られていた。

 今季は高い意識を持たせるために、あえて初の開幕投手にも指名された。また、右ヒジの違和感などもあり4度の登録抹消をされているが、極力一軍帯同で調整させた。それもチームの空気を感じさせるためだった。

 その変化には周囲も目を見張っていた。工藤監督も「マウンドでのしぐさや打者へ向かっていく気持ちに成長を感じる」。倉野投手統括コーチも「表情を見ても明らかに今までの雰囲気と違う」。大きな期待を背負っての投球だったが「気負いすぎ」が悪い結果に出てしまうとは…。

 もちろん、エースへのレベルアップが一段飛ばしに進むわけではない。今回のことを糧にすべく「負けてこんなこと言っている場合じゃないのは分かっていますが、勉強になりました」と話した千賀。月末に再び登板予定の直接対決が控えていて、リベンジの機会もあるが、逆転Vへチームは痛い星を落とした。