阪神が13日の中日戦(甲子園)を2―6で落とし、甲子園での負け越しが決まった。右太ももの張りのため2戦連続で欠場となった主将・福留の不在も響き、聖地凱旋となった中日・松坂に白星を献上。今季4度目の対戦で3敗目となった金本知憲監督(50)は「(打てないのは)うちだけじゃないかな。何でかな。得点圏に行ってもね…。いい打球が正面を突いたりしたものあったけど…」と首をひねるしかなかった。

 ただ、敗戦よりも衝撃的な出来事もあった。2回表、松坂が打席に入ると左翼席の中日ファンがハッピーバースデーを演奏。すると、それに合わせて内野席や右翼席の虎党までもが一緒に祝福。球場全体から盛大な拍手が湧き起こる前代未聞の雰囲気となった。

 ファンの垣根を越えた松坂へのエールとなったが、チーム関係者は「甲子園で試合中に相手選手にあれだけの拍手が送られることは今までにない。阪神ファンまでもが松坂の活躍を楽しみにしているような感じだった。チームへの期待度が薄れているのか…」と危機感を募らせる。

 客入りで苦戦する中日戦ながらこの日は“松坂凱旋効果”が期待された。しかし、蓋を開けてみれば入場者数は3万5134人止まりで大入りとはならず。虎党の熱が急降下しつつあるのが現状だ。甲子園での戦績が19勝31敗1分けとなった指揮官は「残り試合を頑張るだけ」と口にしたが、勝利でファンを振り向かせるしかない。