「平成の怪物」が“聖地”に凱旋だ。中日・松坂大輔投手が13日の阪神戦(甲子園)で移籍後初めて屋外球場のマウンドに登場。5回を5安打1失点の好投を見せて今季6勝目(4敗)をマークした。

 最高の舞台が整った。この日は38歳の誕生日。松坂が甲子園で公式戦に登板するのは西武時代の2006年6月9日の阪神戦以来、実に12年3か月ぶり。その際、14奪三振で1失点完投勝利を飾っているが、当時とは違う変化球主体の投球スタイルながら、またも虎狩りを果たした。

 立ち上がりからストライクを先行させ、初回を三者凡退で仕留める上々の投球内容を披露。2回は無死一、二塁としながら無失点で切り抜けると、3回も先頭の才木に四球を与えたが、北條を三ゴロ併殺に打ち取るなど粘りを発揮した。

 味方打線が爆発し、5点リードの4回は一死三塁で陽川に適時二塁打を浴びて1点こそ失ったが、最少失点でしのいだ。5回も二死から連打で二、三塁とピンチを招いたが、ここ2試合で計3本塁打を放っている絶好調の大山に外角のボール球になるスライダーを振らせて三振。雄たけびを上げながらガッツポーズを繰り出して、この回を投げ切ってマウンドを降りた。

 それでも松坂は「5回までしか投げられず申し訳ないです。次回はもう少し長いイニングを投げられるように頑張ります」と反省の弁を口にした。

 阪神ファンも松坂の背中を後押ししていた。誕生日とあって、2回の打席に入る際、竜党が陣取る左翼席からお祝いのハッピーバースデーが演奏されると、その音に合わせてバックネットや一塁側、右翼席の阪神ファンまでも祝福。演奏後は球場全体から盛大な拍手が湧き起こった。

 高校時代に春夏連覇の偉業を達成するなど数々の伝説を残した聖地・甲子園で迎えたバースデー登板で、松坂は新たな歴史の1ページとなる1勝を加えた。