巨人総勢27人から「WE♡SHU」特大生花ボード 引退・村田に男の花道

2018年09月10日 16時30分

巨人の選手らから贈られた生花ボードの前で家族で記念撮影する村田

 万感の男泣きだった。BCリーグ栃木の村田修一内野手(37)が9日、栃木・小山で行われた今季最終戦の群馬戦に「4番・三塁」でフル出場し、試合後に自らの口で現役引退を表明した。超満員の6000人超が詰め掛けた球場には、背番号25の野球人生を彩る関係者、ファンが大集結。サプライズに次ぐサプライズに村田は涙に暮れ、最後は笑顔でバットを置いた。

 球場は最多記録の6025人で札止め。一身に歓声を浴びた村田は、4打席目に痛烈な中前打を放ってスタンドを沸かせたが、9回無死一塁で迎えた最終5打席目は一ゴロに倒れた。それでも一塁への全力疾走で併殺は阻止すると「最後はフルスイングしても良かったんでしょうが、これまでもチームのために野球をやってきた。だから最後までそういう野球をしようと」。泥くさいラストスイングに胸を張った。

 8―8の引き分けで終えた試合後、マウンド中央でマイクの前に立った。横浜(現DeNA)時代の恩師である大矢明彦氏から花束を贈呈されると、こらえていた涙があふれる。そして最後のあいさつ。「今日をもって私は現役を…」と言葉に詰まると、スタンドからは「言わないでくれ!」の声が飛んだ。それでも「今日をもって現役を引退します」と続け、周囲と家族に感謝の言葉を繰り返し述べた。

 最後に登場した3人の息子たちは横浜、巨人、栃木のユニホーム姿。「全員栃木の予定でしたが、やっぱり3球団あっての修さんだから」。妻・絵美さんのサプライズだった。客席のファンからは横浜、巨人時代の応援歌が。涙を止められない村田は栃木ナインの手で10度、宙に舞った。

 スタンドには人望の厚さを物語る顔触れがズラリ。東福岡高、日大時代の野球部メンバーが村田に黙ってバス数台で集結し、横浜時代の元チームメートも姿を見せた。現在大阪で焼き肉店を営む大西宏明氏は「修ほど尊敬できる同級生、野球選手はいなかった。彼のために塁に出ようと必死で野球をしたことを思い出します。彼からは人生を学ばせてもらった。その感謝の思いを伝えたかった」と早朝、新幹線を乗り継いで駆けつけた。

 球場外にも思いが並んだ。巨人とその関係者からは、坂本勇、阿部ら総勢27人の名前と「WE♡SHU」と記された特大の生花ボードが到着。ヤクルト・館山、ソフトバンク・内川ら多数の球界関係者から花が届いた。

 昨年、巨人を戦力外となった際、母・明美さんは「艱難汝を玉にす」との言葉を手紙に添えた。どんな苦難も糧としてほしいとの思いからだった。そして息子は栃木に新天地を求め、不屈のシーズンを終えた。父・裕文さんは「周囲や家族を思って決断を下し続ける姿が、息子ながら頼もしく見えた」と目を細めた。

 横浜、巨人、栃木で16年。小学生時代にさかのぼればちょうど30年。「未練はないと言えばうそになるかもしれませんが、野球人生に悔いはありません」。昭和の香りを残し、平成に咲いた希代のスラッガーの現役生活は大団円で幕を閉じた。