<西武10-4ロッテ(7日)>西武・菊池雄星投手(27)が7日のロッテ戦(メットライフ)で7回6安打4失点ながら16安打10得点を奪った打線の大量援護に救われ11勝目(4敗)を挙げた。2位のソフトバンクが負けたため、その差を5ゲームに広げた。

 勝つには勝ったが、エースの投球には程遠い勝利だった。辻監督が「丁寧に投げていたんだけど、やっぱり本人も不安があるんでしょうね。ここ数試合、脇腹がつるような感じがある。熱中症じゃないけど(ベンチに下がって)錠剤を飲んで水を飲んで(処置をした)」と振り返ったように、8月31日のオリックス戦(京セラ)に続き、この日も4回に左脇腹に違和感を発症した。

 菊池は「ちょっとつって水を飲んだり塩分を取ったりした。初回から汗が止まらなかった。普通は1回かけばそこで止まるんですけど…。野手が一生懸命やっているのに何やってるんだ、と思い(6、7回は)少しでも流れを持ってきたいと思った。今日は何もチームに貢献できなかった」とざんげ。ここ2試合の脇腹痛が大量発汗による脱水症状による疑いを持っていることを明かした。

 しかし、ネット裏のメジャースカウトの解釈の中には本人の見解とは違う見方もある。ある球団スカウトは「シーズン中に下半身の使い方を大きく変えたリスクの代償かもしれない」と独自の仮説を披露しこう続けた。

「修正後の今のフォームでは(シーズン前に)鍛えていない箇所に負荷がかかり過ぎるのかもしれない。不安のあるどこかの箇所に負荷をかけないようセーブする投げ方をしている中で左脇腹に極度の負荷がかかっていたのでは? けがを恐れ無難な方向へのフォーム修正に踏み切ったことで前半戦の荒々しさがなくなってしまったことの方が心配。評価の見直しは必要かもしれない」

 今オフ、移籍市場の目玉になるかもしれない左腕の不安の原因究明を慎重に図るメジャーと、チームの優勝に思うような貢献ができないエースのジレンマ。そのストーリーの結末はまだ予断を許さない。