広島の新井貴浩内野手(41)が5日、広島市内のマツダスタジアムで記者会見を行い、今季限りでの現役引退を発表した。前日までに球団の松田元オーナー(67)にその意思を伝え、了承された。8月上旬に引退の意向を球団側に伝えた際には強く慰留され、1か月の“猶予期間”を与えられたが、その意思が変わることはなかった。

 20年目の今季は左腓腹(ひふく)筋挫傷のため14年ぶりに開幕二軍スタート。松山やバティスタにスタメンを譲る機会が増え、ここまで49試合の出場にとどまり代打待機も多かった。それでも8月29日の巨人戦(東京ドーム)で約1か月ぶりに先発出場すると吉川光から4号3ランを放つなど存在感を発揮していた。

 新井は1998年のドラフト6位で駒沢大から広島に入団。03年は阪神にFA移籍した金本知憲(現監督)の後を継ぐ形で開幕から4番に座り打線をけん引した。05年には43本塁打で初のタイトルを獲得。07年オフにFA権を行使して阪神へ移籍した。

 15年に古巣復帰を果たし、16年には25年ぶりとなるリーグ優勝に貢献。通算2000安打と通算300本塁打を達成しMVPに輝いた。球団初のリーグ3連覇が目前に迫る中、34年ぶりとなる日本一で新井さんが有終の美を飾る。