コイの勢いが止まらない。広島は4日の阪神戦(マツダ)で延長12回、菊池涼介内野手(28)が二死三塁から右前に落として5―4でサヨナラ勝ち。今季初の7連勝で貯金は最多の28、優勝マジックも1つ減らして12とした。

 お立ち台に上がった菊池は「ナイスバッティング…でしたかね? 詰まりましたんで」と照れ笑いを浮かべながらも「延長戦になっても残ってくれているお客さんのためにも、なんとか、なんでもいいんで勝ちたいなと思ってました」と声を弾ませた。

 2戦連続のマルチ安打で“兆し”は見せているものの、打率2割4分3厘は規定打席到達者の中でリーグワースト2位。チームが球団初のリーグ3連覇に向けて着々と前進する中で「東京(での巨人、ヤクルトとの6連戦)でもチャンスで打てなかったりした。みんなが打ってくれているから気分を乗せてもらっている。全部が全部、自分の力かというとそうではない」と勢いに乗り遅れないよう必死に食らいついているという。

 ただ、低いのは打率だけ。球界屈指の守備や走塁は言うに及ばず、2番打者としての大事な仕事でもある犠打はリーグトップの中日・京田と3差の21で、成功率は10割を誇る。東出打撃コーチは言う。「これは“2番あるある”の一つでもありますが、しっかりとボールを見てバントを決めた後の打席ではヒットが出たりするものなんです」

 確かにこの日の菊池は8回無死一塁の第4打席で松山の同点打の呼び水となる犠打を決め、12回にサヨナラ打を放った。地味な仕事をこつこつとこなしていくことが、完全復調への近道になるのかもしれない。