“育成助っ人”が伝説の鉄腕の大記録に到達してしまった。広島は30日の巨人戦(東京ドーム)に6―2で快勝し、優勝マジックを「19」とした。8回に4番手でマウンドに上がったヘロニモ・フランスア投手(24)は月間18試合登板でセ・リーグ新記録を樹立。2リーグ制以降では稲尾和久(西鉄)、益田直也(ロッテ)の日本記録に並んだ。

 3―2の8回、4番手で登板したフランスアは岡本への四球、長野の安打などで一死一、二塁のピンチを招きながらも、山本、代打・ゲレーロから連続三振を奪って無失点で白星に貢献。31日のヤクルト戦(神宮)にも登板すれば、西鉄で最多勝4回、通算276勝を挙げ「神様、仏様、稲尾様」とあがめられたあの稲尾超えまで成し遂げてしまう。試合後、左腕は「セ・リーグ新記録になってうれしいです。明日も行けます」と通訳を介してコメント。直後に「(新記録で)お金はもらえますか?」と自ら日本語で“逆取材”するほど元気が有り余っていた。

 チームは球団史上初のリーグ3連覇へ突き進んでいるものの、今村、ジャクソンといった「勝利の方程式」が精彩を欠いている。そんな中、ドミニカ共和国カープアカデミー出身で今季支配下登録されたばかりの助っ人が救世主として中継ぎ陣を支えている。

 真面目なキャラクターだ。チーム関係者が「性格はシャイというかバティスタとは正反対な感じ」と証言するように陽気なドミニカンタイプではない。

 2016年に右ヒジ内側の側副靱帯部分損傷により開幕前からファーム生活を送っていた大瀬良は「一人で課題を持って黙々とトレーニングをやっていた。あんなにすごい球を持っているし、いつか一軍で活躍するとは思っていたら、すごい記録をつくったね」と敬意を込めて語った。

“連勤”が続いても愛妻料理で疲れを吹き飛ばしている。好物は来日中のサンドラ夫人が腕によりをかける「ポジョギサード」というドミニカ共和国で親しまれている鶏肉の煮込み料理。「赤い豆と鶏肉を使って白いご飯にかけて食べるんだ。カレーみたいなものだよ」と広島ではほぼ毎日、舌鼓を打っている。

 緒方監督は「記録よりも勝利に貢献してくれているから頼もしい」と最敬礼。背番号97がジャパニーズドリームをつかむため腕を振り続ける。