今季33度目の逆転勝ちで29日の巨人戦を制した広島は優勝マジックを「20」とした。そんな中、7月24日以来、約1か月ぶりに「5番・一塁」でスタメン出場した新井貴浩内野手(41)が1本塁打を含む3安打3打点と打ちまくった。

 1点を追う6回一死一、二塁のチャンスで打席を迎えると、吉川光からバックスクリーン左へ運ぶ3号3ランで一時逆転に成功。2回の第1打席、8回の第4打席でも安打をマークした新井は「たまたま」と謙遜しながらも「(代打と変わらず)準備はしていたけど、気合は入っていた」と振り返った。

“戦犯”の危機もあった。初回、無死一塁から重信の一ゴロを捕球ミス。さらに、ベースカバーに入った九里への悪送球も重なり“1プレー2失策”で2失点につながった。「九里に迷惑をかけたので、この試合で何とか取り返す気持だった」と反省から生まれた久々の猛打賞だった。

 試合前まで8月は11打数1安打の打率9分1厘と低空飛行。7月も14打数1安打とすっかり影が薄くなっていた。新井の一発の直後に同点に追いつかれ、チーム最年長のアーチが空砲に終わる可能性もあっただけに、チーム関係者は「どの試合も勝ちにいくというのは変わらない。ただ、ベテランがあのように結果を出したからには負けるわけにいかないというのもあった」と“フォー・ザ・アライさん”パワーで接戦をものにした。

 41歳6か月での1試合3安打は球団最年長記録。緒方監督は「(新井は)まだまだ体も動くしバットも振れる。これからも勝負どころで頑張ってもらう」。赤ヘルの精神的支柱がゴールテープを切るまで走り続ける。