中日のダヤン・ビシエド内野手(29)が28日のDeNA戦(横浜)で2安打を放ち、月間最多安打43の球団新記録をマークした。5回に三塁強襲の二塁打で球団記録に並ぶと、8回の第4打席で中前打。1954年8月の西沢道夫、64年8月の高木守道が記録した42の球団記録を更新し、「(記録は)知らなかった。たくさん選手がいる中で、そういう記録を残せたのは、うれしいね」と笑顔を見せた。

 8月は89打数43安打、打率4割8分5厘、7本塁打、22打点と大爆発。打率3割4分8厘で首位打者争いでもトップをひた走り、来日3年目で覚醒した感もある。好調の理由について自身は「体調がすごく良くて、メンタルも落ち着いている。調子の波も少ないし、納得するスイングができている」と分析したが、チーム内からは「あの日を無事に乗り越えたからだ」との声が出ている。

 それは「8月13日」。ビシエドにとって忌まわしい日だ。16年は阪神戦(京セラ)の一塁守備で二塁の高橋と衝突。左足首を痛めて1か月以上戦線に戻れなかった。昨年もヤクルト戦(ナゴヤドーム)で死球を受けて右腕尺骨骨折。その後のシーズンを棒に振った。ビシエドにとって不吉な日になっていたが、今年は月曜で試合がなし。「あの日を乗り越えられたから今があるんですよ」とチーム関係者は言う。

 13年8月の村田修一(巨人)の月間最多安打のセ・リーグ記録46、1996年8月のイチロー(オリックス)の日本記録48も視野に入ったビシエド。8月13日の悪夢を振り払った勢いで記録更新となるか。