巨人は19日の中日戦(東京ドーム)で土壇場の9回に4点差をひっくり返し、6―5で逆転サヨナラ勝ち。最後はマギーの値千金打で4カードぶりの勝ち越しを決めた。ただ、この日最大の注目は約2か月ぶりに一軍練習に参加したアレックス・ゲレーロ外野手(31)だった。二軍ではアーチ量産態勢に入り、いよいよ21日のDeNA戦(横浜)からの一軍昇格かと見られたが、結論はまさかの二軍再送還。その背景では何が起きていたのか――。

 試合は劇的な幕切れとなった。1―5で迎えた9回裏、先頭の阿部が死球で出塁すると代打・陽岱鋼、長野、代打・大城、田中俊の4連続適時打で一気に同点。なおも一死一、三塁のチャンスでマギーが初球を左前へ運んで勝負を決めた。

 チームも球場内もお祭り騒ぎとなったが、この日の主役は試合前に現れたもう一人の助っ人だった。6月中旬に登録抹消となって以来、久々に一軍練習に参加したゲレーロだ。助っ人砲は守備とフリー打撃を行った後、敵将の森監督や古巣の中日ナインとも満面の笑みを浮かべながら旧交を温め「(練習参加で)気分がいい。おかげさまで調子よく振れている」と自身の現状を語った。

 今月15日のイースタン・リーグ楽天戦(東京ドーム)では3ランとソロの2発。二軍からは「一軍に推薦できるレベルにある」との報告が届いていた。この日の登録は見送られたが、21日からのDeNA戦(横浜)でいよいよ一軍昇格か…。ところが現実は違った。

 試合後には敵地でのDeNA戦に向けチームの荷出しが行われたが、背番号5の荷物はどこにも見当たらない。チーム内を探ると、ナインの一人が「ゲレーロの荷物は横浜へは運ばず『ジャイアンツ球場に送り返せ』ってことになったらしいです」と驚がくの事実を明かした。この日の試合前までにロッカールームにはゲレーロの用具が大量に運び込まれていたが、なんと再び二軍へ“即返品”されることになったのだという。

 いったい、どういうことか。結論から言うと、今回は昇格ありきではなく、あくまで練習参加だったということ。由伸監督は「(ゲレーロとは)普通に話したよ」と明かしつつも、状態については「特に。普通じゃない?」とし「練習参加したということだよ」と強調。吉村打撃総合コーチも慎重に言葉を選びながら「しばらく見ていなかったので。監督もヘッドも見たかったということで。試合は別にしても、形としてはいい方向に向かっている」と一軍昇格には時期尚早との判断を示していた。

 そもそも昇格を論議する以前にゲレーロ自身が引き起こした愚行の“みそぎ”が済んでいないとの声もある。7月中旬に球団幹部がセッティングした由伸監督との接見の場を拒否したうえ「(一軍首脳陣とは)ゼロ・コミュニケーション。二軍の住所を忘れちゃったんじゃない?」とまで言い放っていた。ただ、この日は間を取り持つべき球団上層部の姿は東京ドームになし。“面談拒否騒動”が完全に収束したとは言い切れない。

 練習参加→一軍合流の流れから一転、ファームへ屈辱の逆戻りとなったゲレーロ。プライド高き助っ人砲のメンタルはいつまで持つか。