広島が10日の巨人戦(マツダ)に9―3で勝ち、同カード4年連続の勝ち越しを決めた。主砲・鈴木誠也外野手(23)の先制2ランなどで、初対戦となった巨人先発のC・C・メルセデス(24)を粉砕。カープアカデミー出身のG助っ人を見事に返り討ちにした。この日は阪神がDeNAに勝ったためマジック点灯こそお預けとなったが、広島が着々とV3へ向けて歩を進めている。

 強烈な先制パンチだった。初回、二死一塁で打席に入った鈴木がカウント2―2からメルセデスの直球を豪快に振り抜くと、打球はそのまま左翼席上段に突き刺さった。

「(メルセデスは)すごくいい投手なので積極的に行こうと。いい角度で上がって、打った瞬間(スタンドまで)行ったかなと思った」と自画自賛のアーチは19号2ランとなった。

 さらに、2点差に詰め寄られた7回一死一塁の場面では、野上から20号2ランを放ってダメ押し。この一発で3年連続20本塁打に到達した。試合後、緒方監督は「(鈴木)誠也の本塁打から始まって2本目も本当に大きかった」とにっこり。これでチームは今季最長タイの6連勝ともはや優勝マジック点灯など気にならなくなるほど勝ちまくっているが、この日の試合は“絶対に負けられない戦い”だった。

 相手先発はドミニカ共和国カープアカデミー出身の左腕・メルセデス。これまで無傷の3勝をマークしており、緒方カープにとっては今回が初対戦だった。

 首脳陣は「そんなにコントロールを重視している感じはないけど四球が少ない。ビデオの映像と打席ではまた違ってくるところもあるし、やってみないと分からない」と警戒していたが、終わってみれば西川の2打点もあり、6回までに5点を挙げてマウンドから引きずり降ろした。

 そんな赤ヘルの金の卵だったメルセデスにはフロントも目を付けていたという。「アカデミーにいる以上、練習生として日本に呼ぶ考えはあった。ただ、あくまで候補の一人だった」(球団幹部)。それだけに負けるわけにはいかなかった。

 また、別のチーム関係者は「ドミニカ(アカデミー)ではコントロールが良くなかったと聞いた。カープに来ても活躍していたかどうか…。それでも日本に来てから低めへの制球などが良くなっていたから、どうなるか分からないもの。だからこそ負けたくなかった」と本音をのぞかせた。

 同門出身のバティスタとの“カープアカデミー対決”は実現しなかったものの、因縁の相手を「恩返しはまだまだ早い」と言わんばかりにきっちりと返り討ち。さすがは「王者・カープ」といったところか。